2016 Fiscal Year Research-status Report
認知症患者に対する音楽体操の認知機能改善効果の検討
Project/Area Number |
15K08909
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
佐藤 正之 三重大学, 医学部附属病院, 准教授 (70303732)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木田 博隆 三重大学, 医学部附属病院, 助教 (00402678)
田部井 賢一 三重大学, 医学系研究科, 助教 (60609684)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 認知症 / 音楽療法 / 非薬物療法 / 神経心理 |
Outline of Annual Research Achievements |
当初案ではH28年度に予定されていた半年間の介入が、H27年度末までに終えることができた。H28年度は、得られた音楽体操群と脳トレ群の合わせて80名あまりの結果を解析し、12月に東京国際フォーラムで開催された「第35回日本認知症学会学術集会」で発表した。脳トレ群では半年間の介入期間に日常生活動作が有意に低下していたのに対し、音楽体操群では維持されていた。これは、主たる介護者が患者の日常生活の様子を観察して採点した結果に基づいており、生活場面での行動・認知の変化を直接的に反映している。同発表は、同じフィールドの研究者からも好意的に迎えられると同時に、先行研究での健常者、今回の軽度から中等度の認知症患者への音楽体操の有効性に鑑み、残る重度認知症患者にも同様の効果が証明できれば、健常者から重度認知症までフルステージかつシームレスの非薬物療法の手段を手に入れることができ、医療・福祉に大きな福音となるとの示唆をいただいた。 研究成果の国際誌での発表を目指して英語論文化し投稿したところ、年度末のH29年3月に、認知症の国際誌であるJournal of Alzheimer's Diseaseに原著論文として受理・掲載された。同雑誌は、認知症に関わる世界中の医師・研究者の大部分が目を通し、インパクト・ファクターが4くらいあるいわゆるクオリティ・ペーパーである。 H29年度は、さらにいくつかの国内学会と、国際学会で発表するとともに、シンポジウムでの講演や総説執筆の機会を利用して、成果の発信を行っていく予定である。また、参加施設のスタッフや患者・家族、御浜町・紀宝町の福祉課のスタッフを対象に結果説明会を開催し、地域の知識と技能の向上に貢献したい。さらに、残る重度認知症に対して同様の取り組みを行うべく、両町と準備を進めていきたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初、H29年度に予定していた論文執筆をH28年度に終えることができ、さらに国際誌への掲載まで果たした。その分、H29年度での成果の発信に、より力を注ぐことができる。
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Strategy for Future Research Activity |
H29年度には、国内外の学会で成果を発表していく予定である。参加した施設や患者・家族、担当した御浜町・紀宝町の職員にも、結果を報告し還元していく。また、残る重度の認知症患者に対する非薬物療法の効果について、次の段階の研究に向けて用意をしていく。
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Causes of Carryover |
当初H28年度に予定されていた介入が、H27年度内にすべて終了したため、それに伴い人件費や謝金、検査費用などがH28年度には予定より少なくなった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
H29年度は、国際学会で成果を発表するとともに、被検者とその家族、フィールドとなった施設職員、町のスタッフなどにも結果を還元し、今後より多くの認知症患者に利用していただける環境づくりをしたい。
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