2015 Fiscal Year Research-status Report
スカベンジャー受容体SR-A関連の病原体感知機構解明による1型糖尿病発症予防
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15K08917
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
安田 尚史 神戸大学, 保健学研究科, 教授 (50403233)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 1型糖尿病 / 自己免疫 / スカベンジャー受容体 / 病原体 / ウイルス / 微生物 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、臓器特異的自己免疫疾患である1型糖尿病(T1D)発症との関連が指摘されているウイルス感染や腸内細菌における、樹状細胞(DC)のスカベンジャー受容体SR-Aの役割を解明し、T1D発症予防法へと発展させることである。我々はこれまでの1型糖尿病研究で多くの知見を得てきたが、最近、SR-Aと二本鎖RNAウイルス感知センサーであるTLR3との関係を報告した。今回はさらに、SR-Aと他の病原体感知センサーであるTLR4(グラム陰性桿菌)やTLR9(DNAウイルス)などとの関連及びTLR3との関連が示唆されるRaftlinとの関係を解明することで、ウイルスや細菌感染に対する有効な予防法を見出しヒトT1Dの発症予防法を開発することを最終的な目標とした。我々が作製したSR-A 欠損NODマウスを用いて、SR-A-TLRシグナルにおいて、我々はTLR3へのシグナル以外にも、TLR3と同様に、エンドソーム上に存在するTLR9, TLR7へのシグナルや下流にMyD88を有さないTLR4(一部の経路)へのシグナルの存在を考えている。①NODマウス(自然発症モデル) ②cyclophosphamide(CY)誘導NOD糖尿病モデル(薬剤誘発モデル)で、細胞外病原体を認識する病原体感知センサーTLR4やTLR9, TLR7のagonistや抗体をSR-A欠損NODマウスとNODマウスのそれぞれに投与し、それらのマウスでのT1D発症の推移を検討した。まず、TLR4のagonistと考えられているLPSの投与実験では、1)NODマウスの自然発症モデルへのLPS投与群と非投与群での糖尿病発症率を比較し、LPS投与群で発症率の抑制傾向を認めた。2)NODマウスのCYモデルへのLPS投与群と非投与群での糖尿病発症率を比較し、LPS投与群で明らかな発症率の抑制を認めた。3)SR-A欠損NODマウスの自然発症モデルへのLPS投与群と非投与群での糖尿病発症率を比較し、LPS投与群で発症率の抑制傾向を認めた。4)SR-A欠損NODマウスのCYモデルへのLPS投与群と非投与群での糖尿病発症抑制傾向の有無を検討中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
NODマウスおよびSR-A欠損NODマウスのそれぞれの自然発症モデルおよびCYモデルにおいて、TLR4のagonistと考えられているLPSの投与実験を行なって興味ある結果は得られているが、その一方でTLR7やTLR9のagonistの投与実験にはまだ至っていないため。
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Strategy for Future Research Activity |
NODマウスおよびSR-A欠損NODマウスのそれぞれの自然発症モデルおよびCYモデルにおいて、LPSの投与実験により、それぞれの実験系においてT1D発症率の相違が得られたメカニズムを比較検討するため、脾臓、PLN(膵リンパ節)、MLN、パイエル板におけるDCやT細胞のpopulationなどを検討する。①細胞表面マーカーをFlow cytometerを用いて以下の解析を行なう。1.T細胞、B細胞、DC、マクロファージなどの細胞populationを検討する。2.CD4CD25制御性T細胞、CD8制御性T細胞、Foxp3陽性T細胞の存在の有無と比率を検討する。3.CD11c DCの制御性マーカーの解析(B220,CD45RB,HLAClassII,CD80,CD86,CD103など)を行なう。4.疾患誘導モデルをコントロールとして、細胞populationを比較検討する。②サイトカイン分泌をELISAを用いて解析し、抑制性サイトカインであるIL-4、IL-10、及びTGF-βの分泌を検討する。③膵臓の組織学的検討(H-E染色、免疫染色)し膵島炎やapoptosisを検討する。
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[Presentation] 日本人1型糖尿病の包括的データベースの構築と臨床研究への展開(TIDE-J)(第3報)2015
Author(s)
梶尾 裕, 中條 大輔, 霜田 雅之, 安田 和基, 春日 雅人, 花房 俊昭, 今川 彰久, 池上 博司, 大澤 春彦, 川崎 英二, 粟田 卓也, 高橋 和眞, 小林 哲郎, 島田 朗, 安田 尚史, 阿比留 教生, 長澤 幹, 田中 昌一郎
Organizer
第58回日本糖尿病学会年次学術集会
Place of Presentation
ぱしふぃっくびいなす(山口県・下関市)
Year and Date
2015-05-21 – 2015-05-24
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