2017 Fiscal Year Annual Research Report
Psychosocial stress by partner-loss enhanced pain behaviors in monogamous animal, prairie voles.
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15K08918
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
大迫 洋治 高知大学, 教育研究部医療学系基礎医学部門, 准教授 (40335922)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
由利 和也 高知大学, 教育研究部医療学系基礎医学部門, 教授 (10220534)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 心理社会的修飾 / パートナーロス |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度において、脊髄後角におけるFos発現では、炎症側におけるFos発現ニューロン数に維持群・ロス群間で有意な差は検出されなかったが、脳幹から投射している下行性疼痛抑制系による抑制性介在ニューロンのFos発現も混在している可能性が考えられる。そこで、GABA産生酵素GAD67の抗体による免疫組織化学的染色法により抑制性介在ニューロンを検出し、それらのFos発現を維持群・ロス群間で比較解析を行った。その結果、維持群・ロス群ともに炎症側の脊髄後角において、Fos発現ニューロンの約40%がGAD陽性ニューロンであり、両群間に有意な差は検出されなかった。前年度までに、ロス群の中脳ドパミン回路の痛み刺激に対する反応性の低下が示唆されたので、腹側被蓋野のGABA抑制性介在ニューロンのFos発現を指標にドパミンニューロンの活性度を間接的に評価し、維持群とロス群での比較解析を試みた。その結果、維持群・ロス群ともに、Fos発現を示すGAD陽性ニューロンはほとんど検出されず、ドパミンニューロンの活性度を評価するにいたらなかった。そこで、パートナーロスに伴う痛み行動の増悪に脳内ドパミンが関与しているのか検証する目的で、パートナーロス期間中に、体内埋め込み型マイクロインフュージョンポンプを使用して、人口脳脊髄液(200nl)、人口脳脊髄液+ドパミン受容体D2アゴニストquinpirole(1ng/200nl)のいずれかを流速0.5μl/hrで側坐核へ投与し、各グループの炎症性疼痛時の痛み行動を解析した。その結果、人口脳脊髄液のみを投与したパートナーロス群に比べて、人口脳脊髄液+quinpirole投与群では痛み行動が少ない傾向がみられ、パートナー維持群との差が減少した。パートナーロスに伴う痛み行動の増悪が、脳内へのドパミン受容体アゴニスト投与により緩和されたことから、痛みの心理社会的修飾メカニズムに脳内ドパミンが関与することが示唆された。
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