2015 Fiscal Year Research-status Report
神経性食欲不振症の治療がもたらす脳機能の変化とその意義の解明
Project/Area Number |
15K08921
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
権藤 元治 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 研究員 (20448418)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河合 啓介 九州大学, 大学病院, 講師 (80325521)
樋渡 昭雄 九州大学, 大学病院, 助教 (30444855)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 神経性やせ症 / 安静時機能的MRI / デフォルトモードネットワーク |
Outline of Annual Research Achievements |
神経性やせ症(Anorexia Nervosa;AN)の治療における脳機能の変化と心理面の関係を明らかにするため、AN患者18人と健常者18人について安静時の機能的MRIを測定した。AN患者については統合的入院治療の前後での変化を調べた。default mode network(DMN)について解析し、AN患者においては後部帯状回に機能低下がみられ、治療後は正常化傾向が認められた。さらに治療前のAN患者の後部帯状回におけるDMNへの寄与は無力感、完全主義と正の相関があり、うつと負の相関があった。DMNが反芻または内向的な思考に関連しているとすると、ANでそのような思考に支障をきたしていることに関係している可能性がある。ANの中でも比較的後部帯状回の寄与が高い個体は、その思考の内容は無力感や完全主義という不適応なものが多くを占めており、後部帯状回の寄与が低い個体は思考そのものが低下し、結果として無力感や完全主義も低くなることを表していると考えられる。うつに関しては、うつが強い個体はDMNの働きが低下していると考えられる。このような相関は治療後はなくなることから、ANの病的な思考のメカニズムの一部を表しているのかもしれない。これらの研究成果は、第19回日本摂食障害学会、第20回日本心療内科学会で発表した。今後は島皮質を中心としたネットワークなどとの関係性をさらに詳細に分析したい。また、被験者を増やし、もっと信頼性のある研究をするために、多施設共同試験を行う準備もすすめている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究(ⅰ)ANに対する統合的入院治療による脳機能の変化とその意義の解明については目標被験者数にほぼ到達し、順調に解析が進んでいる。 研究(ⅱ)ANに対する集中内観療法による脳機能の変化とその意義の解明については被験者がまだ少ない。
|
Strategy for Future Research Activity |
研究(ⅰ)については島皮質を中心としたネットワークなどとの関係性をさらに詳細に分析したい。 研究(ⅱ)については治療の対象となる被験者についてデータを集めていく。 また、ANの脳画像研究としてさらに信頼性の高い結果をえるため、多施設で共同し、多くの被験者を集め、分析していく。
|
Causes of Carryover |
所要額はほとんど使用したが、残額566円と少額であったため、次年度の経費とあわせて使用することにした。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
officeアプリケーションのライセンス購入の一部に使用したい。
|