2017 Fiscal Year Research-status Report
神経性食欲不振症の治療がもたらす脳機能の変化とその意義の解明
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15K08921
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Research Institution | National Center for Global Health and Medicine |
Principal Investigator |
権藤 元治 国立研究開発法人国立国際医療研究センター, その他部局等, 心療内科医師 (20448418)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河合 啓介 国立研究開発法人国立国際医療研究センター, その他部局等, 心療内科医長 (80325521)
樋渡 昭雄 九州大学, 大学病院, 助教 (30444855)
高倉 修 九州大学, 大学病院, 助教 (40532859)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 神経性やせ症 / 安静時機能的MRI / Default mode network |
Outline of Annual Research Achievements |
神経性やせ症(Anorexia Nervosa;AN)の患者群は健常群に比べて、The 20-item Toronto Alexithymia Scale (TAS-20)のサブスケールである感情同定困難、感情表現困難、およびTAS-20の総点は有意に患者群が高値を示していた。安静時のfMRIのデータでは、AN群は健常群に比べ、Default mode network(DMN)への寄与度が上前頭回と脳梁膨大後部皮質で低下していた。上前頭回は自己認識に関係していると言われ、また、脳梁膨大後部皮質はエピソード情報の想起に関係していると言われている。これらの領域のDMNに対する寄与の低下が、AN群の感情の同定困難に影響しているかもしれないことが考えられた(心身医学Vol.57No.7.2017)。また、統合的な入院治療において、TAS-20が有意に改善し、脳梁膨大後部皮質のDMNへの寄与度も有意に改善していることが分かった。これらの研究結果は24th World Congress on Psychosomatic Medicine で発表した。さらに他の脳領域との関連も含めて、治療による安静時のDefault mode network(DMN)の変化と臨床的変化について、分析を進め、論文化する予定であったが、関連病院における予想外の欠員の補充のため研究代表者が移動となり、臨床におけるエフォートが増大したため、分析を進めることが出来なかった。 機械学習を用いてANの脳機能と臨床像との関連をしらべるための多施設共同研究では九州大学病院の協力を得て、8名の被験者からデータを取得した。 当初の予定より、研究が遅れているため、次年度まで研究期間を延長することにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
治療による安静時のDefault mode network(DMN)の変化と臨床的変化について、分析を進め、論文化する予定であったが、関連病院における予想外の欠員の補充のため研究代表者が異動となり、臨床におけるエフォートが増大したため、分析を進めることが出来なかった。 機械学習を用いて摂食障害の脳機能と臨床像との関連をしらべるための多施設共同研究では九州大学病院の協力を得て、8名の被験者(健常者5名、患者3名)からデータを取得した。研究分担者に九州大学の高倉修診療講師を加えて、臨んだが、研究代表者の異動が遠方であったため、連絡の頻度が低下し、目標よりも遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
関連病院と調整し、研究代表者の勤務先を変更して、研究に従事する時間を確保できるようにし、また、九州大学病院の近くに異動したので、直接連絡を取りやすくなった。加えて、H30年度より九州大学の大学院生1名の協力を得ることが出来るようになった。これらの調整により、すでにデータがそろっている「ANに対する統合的入院治療による脳機能の変化とその意義の解明」においては、データの分析を進め、論文化することが見込まれ、現在データを取得中の「摂食障害の脳機能画像における多施設共同研究」は、さらに多くの被験者を集めることが出来るようになる予定である。
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Causes of Carryover |
「ANに対する統合的入院治療による脳機能の変化とその意義の解明」について、平成29年度中に論文を投稿する予定だったが、分析が遅れている。平成30年度中に、論文執筆のための、英文校正費や投稿費に使用する予定である。また、平成29年度中の「摂食障害の脳画像における多施設共同研究」の被験者参加数が予定よりも少なかったため、平成30年度も被験者募集を継続する予定であり、患者負担軽減費、MRI装置使用料として使用する計画である。
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Research Products
(2 results)