2016 Fiscal Year Research-status Report
心身相関に関与する新たな因子「骨髄由来細胞」の同定と摂食障害での脳骨髄相関の解明
Project/Area Number |
15K08923
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
安宅 弘司 鹿児島大学, 医歯学総合研究科, 特任講師 (30563358)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浅川 明弘 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 准教授 (10452947)
乾 明夫 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 教授 (80168418)
鈴木 甫 鹿児島大学, 医歯学域歯学系, 助教 (10623340)
八木 孝和 鹿児島大学, 医歯学域歯学系, 講師 (10346166)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 摂食障害 / 認知障害 / 骨髄由来細胞 / 加齢 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、心身相関による疾患、特に摂食障害における脳・骨髄相関を同定しその発症機序を解明することで脳・骨髄相関の研究基盤を確立し、さらに新たな治療標的因子を特定し創薬の可能性を提案することを目的とする。 平成27年度に、ある種の骨髄由来細胞投与により、老化促進マウス(SAMP8)での空間学習記憶能力と新規物質認識能力の低下が改善できることが分かったことから、平成28年度は、この骨髄由来細胞に関して、おもに老化促進マウスを使って検索を行った。老化促進マウスにGFPトランスジェニックマウス由来のある種の骨髄由来細胞(GFP陽性)を投与し、その1か月後において、空間認知能力、新規物質認識能力、さらに恐怖体験記憶能力の改善が確認できたとともに、脳内における骨髄由来細胞の存在が確認できた。現在、脳内の認知機能関連蛋白質の解析を継続し、また、脳内で観察できた骨髄由来細胞の特徴を脳切片での組織学的検索、ならびに脳内から単離した骨髄由来細胞での分子生物学的検索を継続中である。また。投与した骨髄由来細胞の特徴を解析しており、間葉系幹細胞とは異なるCDマーカーの発現が確認できている。よって、この骨髄由来細胞は、脳内に移行し認知機能の改善能力を発現し、また間葉系幹細胞以外のサイドポピュレーションであることから、あらたな骨髄由来細胞をつかった治療戦略の可能性が示唆できた。一方、活動性摂食障害モデルマウスでの、脳内摂食関連タンパク質の発現を継続中であり、このモデルでの骨髄由来細胞の関与を検討する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
摂食障害及び過食モデルでの骨髄由来細胞の関与を主目的としていたが、偶然に、ある骨髄由来細胞の認知機能改善効果を見出したことから、老化での骨髄由来細胞の関与についても検索を行うこととした。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度である、本年度は、老化、摂食障害、過食モデルでの骨髄由来細胞の関与を解明し、これらに関与する骨髄由来細胞の同定および作用機構解明をめざす。本研究は、マウスにおける内在性の骨髄由来細胞の関与を検索することを目的としていた。この研究課程で偶然にも、ある骨髄由来細胞を投与することで認知機能を改善できる可能性があることを示すことができた。すなわち、外来性の骨髄由来細胞が中枢機能を調節できることを示すことができた。本来の仮説である、内在性の骨髄由来細胞が血行性に脳内に移行し中枢機能を調節するということについては、まだ不明であり、今回見出すことができた骨髄由来細胞が摂食障害モデルや加齢モデルで内在性に脳内に移行するかはわかっていない。本年度は、今回見出された骨髄由来細胞を中心に、摂食障害モデルと加齢モデルでの骨髄由来細胞の関与を検索する予定である。
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