2016 Fiscal Year Research-status Report
末梢血破骨前駆細胞を介した糖尿病の骨脆弱化機序の解明
Project/Area Number |
15K08925
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
元山 宏華 大阪市立大学, 大学院医学研究科, 講師 (80382068)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 破骨細胞 / 糖尿病 / 骨粗鬆症 / 単球 |
Outline of Annual Research Achievements |
糖尿病の骨の脆弱性に、血液中の破骨細胞の前段階である破骨前駆細胞(osteoclast precursor:OCP)の機能的・質的・量的変化が関わっている可能性が示唆されており、本研究は、糖尿病患者の血液中のOCP異常を介した骨脆弱性機序を明らかにすることを目的としている。 平成28年度は試験計画に基づいて糖尿病患者においてOCPへと分化する単球サブセットの解析を行い約120例の糖尿病患者の単球サブセットを患者登録した。平成27年度の20症例の解析において、糖尿病男性において単球サブセットの中でCD16 陽性の単球サブセットは、破骨前駆細胞マーカーであるDCSTAMP発現が増加しておりOCPの性質をもつ可能性を見出した。これを平成28年の骨粗鬆症学会にて「男性2型糖尿病患者7例の単球における破骨細胞マーカー発現の検討」の演題名で発表を行った。平成28年度にさらなる解析において、HbA1c高値の症例ほどCD16陽性単球のDCSTAMP発現が強いことを見出し、糖尿病では血糖コントロール状況が破骨前駆細胞マーカーの発現に影響する可能性が現段階で示唆されてる。 糖尿病患者の破骨細胞の影響を最も受ける臨床的骨指標の一つとして皮質骨が挙げられる。当研究では、試験計画に基づいて皮質骨厚を2波検出型超音波骨密度計にて橈骨遠位端の皮質骨厚を測定した。今年度登録患者の中で、CD16の蛍光信号が強い症例において皮質骨厚が低下している症例があり、「CD16陽性単球は、破骨前駆細胞の性質を持っており、皮質骨吸収と関連がある可能性」が示唆されいてる。また、皮質骨厚に関わる因子として筋力が関係しており、単球サブセットマーカーと破骨細胞マーカーとの間に筋力が関わっている可能性が見だされた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成27年度の予定であった糖尿病患者の血液中の破骨前駆細胞の解析は予定通りセットアップを行い、患者登録を開始し得た。これらの症例において超音波法による皮質骨厚測定やDXA法における骨密度の評価は行えている。平成28年度、29年度で年間100例、本研究期間に200例の症例登録を目標としているが、対象患者の登録は現時点で120例程度と、やや登録が遅れているのが試験進捗の遅れの原因となっている。ヒト単球培養における破骨前駆細胞分化における裏付けの基礎実験においては、RANKによる刺激で単球が破骨細胞様変化に分化することは確認できているが、刺激因子の材料が高額で条件設定において材料の使用量に慎重さを要していることが進捗遅れの原因となっている。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度の研究の推進方針として、現在登録できている2型糖尿病患者120名に加えて引き続き被検者の登録を行い、症例数を増やして目標達成を見込む。登録症例において、CD16陽性単球の破骨前駆細胞マーカーと皮質骨吸収との関係について解析を行い、その関係性を明らかにする予定である。単球サブセットのOCPを介した骨吸収機序の中に、筋力が介在している可能性が示唆されたため、筋力のパラメーターも測定を行い解析に組み込む。ヒトの単球培養における破骨前駆細胞分化における裏付けの実験を行い、最終年度として予定通り結果に対して論文化を行う予定としている。
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Causes of Carryover |
前年度予定していた糖尿尿患者の単球解析費用として年間100例を見積もっていたが、現在120例にてやや登録が遅れていることが次年度使用額が生じた理由となっている。また、高額なヒトの培養実験が遅れていることも次年度使用額が生じた理由となっている。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今年度で予定通りの症例登録を見込み、全額使用見込みとして計上している。最終年度として論文化を行う予定でこれに発生する費用を予定通り見込む。
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