2017 Fiscal Year Research-status Report
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15K08931
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Research Institution | Kyorin University |
Principal Investigator |
柴田 茂貴 杏林大学, 医学部, 准教授 (90636474)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 認知症 / 脳血流 |
Outline of Annual Research Achievements |
【目的】経頭蓋ドップラー(TCD)検査より得られる指標及びbaPWVとMRI及び脳血流SPECTより得られるアルツハイマー型認知症の指標(VSRADのZスコア、海馬血流量)との関係を比較検討した。 【対象と方法】対象は杏林大学病院もの忘れセンター初診患者90名のうち、MRI画像上で大梗塞の認められない81名(男性50名、女性31名、平均年齢77±7歳)。初診時に脳血流SPECT検査、頭部MRIによる画像診断とbaPWVの測定に加えてTCD検査を行い、中大脳動脈の平均脳血流速度(MCAVmean)、Pulsatility Index(PI)、脳血管コンダクタンス(CVCi)、脳血管レジスタンス(CVRi)を評価した。 【結果】年齢、性別で調整を加えた重回帰分析の結果、海馬の萎縮度を表わすVSRADのZスコアはCVCi(β=-0.289, p=0.016)及びCVRi(β=0.317, p=0.006)と有意な相関を示した。同様に年齢、性別で調整を加えた重回帰分析の結果、左右の海馬血流はMCAVmean(左:β=0.365, p=0.0007,右:β=0.363, p=0.0007)、CVCi(左:β=0.323, p=0.003,右:β=0.288, p=0.009)、CVRi(左:β=-0.371, p=0.0007,右:β=-0.297, p=0.007)すべてと有意な相関を示した。同様の重回帰分析でbaPWVはVSARDのZスコア、海馬血流と有意な相関は示さなかった。 【結論】TCD検査によって得られる脳血流動態および頭蓋内動脈硬化の指標はアルツハイマー型認知症でみられる海馬萎縮や海馬血流の低下と関係していることが示された。TCD検査で得られる指標はbaPWVよりアルツハイマー型認知症の発症と関係が強いと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、物忘れセンター外来初診患者に対して従来の検査項目に加えて経頭蓋ドップラー法による脳血管機能測定を行う予定であったが、予定通り経頭蓋ドップラーによる脳血流測定が実施できている。 従来の検査項目である高齢者総合機能評価(認知機能、問題行動、生活機能、うつ、意欲、介護負担など)及び頭部MRIと脳血流SPECTによる画像診断結果(脳の萎縮度、脳各部位のSPECT脳血流量、脳白質病変進行度)と経頭蓋ドップラー法による脳血流測定より得られる脳血管機能の指標との比較がある程度実施できている(上記報告参照)。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は健常者、MCI、アルツハイマー型認知症、血管性認知症、混合型各々100-150人(計500-750人)を目標としてデータ取得を継続する。 現在、症例数は目標数に達していないが、経頭蓋ドップラー法より得られる指標とアルツハイマー型認知症の画像所見との間で有意な関連性を認めた(上記報告参照)。今後は症例数を増やし他の指標と比較を行うとともに、疾患間の違いに関しても検討を加えていく。
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Causes of Carryover |
(理由) 購入予定機器をリースに変更したため (使用計画) 機器リース代を今後支払う予定
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Research Products
(14 results)