2015 Fiscal Year Research-status Report
中枢性副腎髄質系賦活に関与する視床下部室傍核の灌流液中生理活性物質の網羅的解析
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15K08939
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Research Institution | Aichi Medical University |
Principal Investigator |
近藤 文雄 愛知医科大学, 医学部, 教授 (40450861)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡田 尚志郎 愛知医科大学, 医学部, 教授 (40203989)
舘 昌彦 愛知医科大学, 医学部, 助教 (60744274) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 神経伝達物質 / プロスタノイド / PVN / マイクロダイアリシス / LC-ITMSn |
Outline of Annual Research Achievements |
視床下部室傍核(PVN)は、ストレス応答の制御中枢の一つであり、副腎髄質からのカテコラミン分泌、特にアドレナリン分泌を調節しているが、カテコラミン分泌の中枢性制御機構について詳細はいまだ明らかではない。 我々は、これまでにシクロオキシゲナーゼ阻害薬の脳室内前処置が、脳室内投与したストレス関連ペプチドによって惹起された血中カテコラミン増加を抑制するという実験成績をもとに、麻酔ラットのPVN透析液中のトロンボキサンB2(TxB2)(TxA2の安定な代謝物)濃度をELISA法により測定し、PVNにおけるTxA2産生が副腎髄質からのカテコラミン分泌を促進することを明らかにしてきた。しかし、PVNにおけるTxA2以外のプロスタノイドや、ACh、5-HT、Hist、GABAおよびGlu等の神経伝達物質の動態は不明であった。 今年度は、麻酔下ラットにN-メチル-D-アスパラギン酸(NMDA)、副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン(CRF)およびグルカゴン様ペプチド(GLP-1)を中枢性に投与し、in vivo microdialysisにより得られたPVN透析液中のプロスタノイド及び神経伝達物質濃度を、LC-ITMSnにより測定した。その結果、すべての刺激薬において、5-HT、TxB2、PGE2およびPGF2α濃度の上昇が認められた(GLP-1での5-HTを除く)。また、NMDAでは、ACh、GluおよびGABA濃度の上昇も認められた。さらに、非競合的NMDA受容体拮抗薬であるMK-801の前投与により、Glu以外の物質の濃度が減少した。この結果より、NMDAによる刺激でPVN中のGlu濃度が上昇し、それに引き続いてACh、GABA、TxB2、PGE2およびPGF2αが放出されることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究で用いているLC-ITMSn法は、PVN透析液中の4種の神経伝達物質および3種のプロスタノイドの濃度変化を一斉に調べることが可能である。本法により得られた結果は、すでに論文として発表することができ、おおむね順調に進行したと考えている。二年目も、計画に沿った実験を遂行できると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
研究初年度に検討することが出来なかったバクロフェン(BAGAA-receptor agonist)、SKF-97,541(BAGAB-receptor agonist)、イソプロテレノール(β-receptor agonist)、ニコチン(ACh-receptor agonist)を用いて、引き続きPVN中の神経伝達物質およびプロスタノイドの濃度変化を調べる。さらに、濃度変化の認められた物質に焦点を当て、遮断薬・合成酵素阻害薬を前投与したラットを用いて、各刺激薬投与による濃度変化をモニターする。
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Causes of Carryover |
研究初年度に予定していた実験の一部を実施することができず、その試薬を購入しなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
実施できなかった実験を研究二年目に行う予定であり、その試薬購入に使用する計画である。
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Research Products
(1 results)