2016 Fiscal Year Research-status Report
一般住民における無症候性脳梗塞の危険因子としての過剰な食塩摂取に関する研究
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15K08942
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Research Institution | National Hospital Organization, Hizen Psychiatric Center |
Principal Investigator |
高島 由紀 独立行政法人国立病院機構肥前精神医療センター(臨床研究部), 臨床研究部, 医師(主任クラス) (70576404)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
八尾 博史 独立行政法人国立病院機構肥前精神医療センター(臨床研究部), 臨床研究部, 室長 (20265010)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 食塩摂取量 / 無症候性脳梗塞 / 高血圧 / 家庭血圧 |
Outline of Annual Research Achievements |
一般住民の脳MRI健診において、平成28年度(2年目)は受診者61名中同意の得られた47名(77%)について24時間蓄尿による食塩摂取量の測定と家庭血圧測定を行った。尿中クレアチニンの値から推測して、測定手技が不適切であったと判定される例を除外し、1年目の結果と合わせて予備的検討を行った。(尿の取り損ねなどのない)適切な手技による結果と判定されたのは、124例中103例(83%)(男性44例、女性59例、平均年齢66.9歳)であった。食塩摂取量は、男性11.1±4.5(S.D.)g、女性9.5±3.1(S.D.)gで、全国平均と一致した。この結果からは一般成人食塩摂取基準(男性8 g/日、女性7 g/日)からみて、過剰な食塩摂取の状態にある。ただし、食塩摂取量には男女ともかなりの個人差―3 g/日から20 g/日以上まで―があった。興味深いことに、食塩摂取量は受診時の外来血圧との相関はなかったが、食塩摂取量と家庭血圧(収縮期血圧)とは有意な相関を示した(r=0.272, p=0.006)。因果関係については確定的なことはいえないが、食塩摂取量が多いと血圧が上昇するように推察される。また、この相関関係が家庭血圧のみで認められ、この結果からも家庭血圧測定の有用性が示唆される。今後、無症候性脳梗塞の危険因子として食塩摂取量が、他の因子―特に高血圧―と独立して関与するかが本研究の主目的であるが、現時点では多変量解析をおこなうには例数が不足しているので、今後症例を増やしていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
食塩摂取量の測定に関しては、脳MRI健診受診者の約8割が24時間蓄尿に同意し、24時間蓄尿による食塩摂取量の値は約8割で妥当であり、この点に関しては順調といえる。しかしながら、平成28年度の脳MRI健診の受診者が少なく、平成29年度は脳MRI健診の受診者数の確保という点を改善しなくてはいけないと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
良い成績を得るためには、上述したように脳MRI健診の受診者数の確保につきると考えられる。十分な例数を得ることができれば、無症候性脳梗塞の危険因子として食塩摂取量が、他の因子―特に高血圧―と独立して関与するのかについて多変量解析をおこなう。
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Causes of Carryover |
平成28年度の脳MRI健診受診者が予定(100~120名)よりかなり少なかった(61名)ため、健診に従事した方への謝金が少なかったため残額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度に繰り越し、平成29年度は受診者を増やし、予定通りに使用することを計画している。
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Research Products
(4 results)