2015 Fiscal Year Research-status Report
食道潰瘍の創傷治癒から観た新たなバレット食道発生の機序について
Project/Area Number |
15K08945
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
淺沼 清孝 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (10431553)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
飯島 克則 秋田大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (60375003)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | バレット食道 / 創傷治癒 / 組織収縮 / 線維芽細胞 / 一酸化窒素 |
Outline of Annual Research Achievements |
バレット食道は食道腺癌の主要発生母地であるバレット食道は、通常、扁平上皮で構成される下部食道粘膜が逆流生食道炎で傷害を受けた後の治癒過程で、扁平上皮による正常治癒から逸脱し円柱上皮化した病態である。バレット食道発生のメカニズムは未だ不明であるが、私は傷害上皮治癒過程に着目し研究した。当研究グループで過去に、ラット慢性逆流生食道炎モデルの下部食道で一酸化窒素(NO)を発生させる事により効率にバレット食道が発生する事を明らかとした。このモデルを用いて治癒過程における線維芽細胞の組織収縮能を検討した。(結果)1) 2週間NO投与群と非投与群におけるバレット食道発生率は、20% vs 0%、4週間後では50% vs 10% (p<0.05)とNO投与群に有意で上昇を認めた。2) ラットバレット食道粘膜は免疫染色にてMuc2、Muc5AC、Muc6, Cdx2陽性を認めた。3)蛍光免疫染色にて線維芽細胞におけるaSMAならびにVimentin発現を評価した。Vimentin陽性の紡錘形細胞を線維芽細胞として同定し、aSMA染色は2重染色にて発現をNO投与の有無、バレット食道の有無で評価した。非バレット食道部でのaSMA染色はNO投与の有無にて明らかな変化を認めなかったが、バレット食道下部の間葉系組織におけるaSMA染色の低下を認めた。Westernblotでの結果では下部食道組織におけるaSMA発現はNO投与群にて低下を認めた。(結論・考察)aSMA発現低下は、創傷治癒における線維芽細胞から筋線維芽細胞への分化抑制から組織収縮低下を意味し、治癒遷延を来したと考えられた。NO投与群におけるバレット食道下部にてaSMA発現の低下を認めた事は、食道治癒遅延が異常な組織修復を来しバレット食道発生に寄与したと考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
結果は概ね研究仮定に沿ったものが得る事ができた。
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Strategy for Future Research Activity |
計画通り本年度は培養細胞を用いて、間葉系細胞におけるaSMA発現の低下が上皮組織におけるバレット食道発生に関するシグナル伝達に与える影響を評価する。 またラット組織のおいて、Laser Microdissection を用いて各部位毎のaSMA発現をPCR法にて測定する計画を追加する予定である。
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Causes of Carryover |
研究は概ね順調に遂行できたが、より効率的であった為、物品費が当初の予定より少額で済むことができた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度物品購入費に追加する。
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