2015 Fiscal Year Research-status Report
NSAIDs小腸潰瘍の初期病変に関連する標的分子TRPイオンチャネル
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15K08947
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
杉山 敏郎 富山大学, 大学院医学薬学研究部(医学), 教授 (00196768)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三原 弘 富山大学, 大学院医学薬学研究部(医学), 助教 (00612623)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 小腸潰瘍 / NSAIDs / TRPV4 / 細胞透過性 |
Outline of Annual Research Achievements |
1)マウス小腸上皮細胞、ラット小腸上皮細胞株IEC-6のTRPV4 mRNAおよび蛋白発現:C57BL6野生型マウスおよびラット小腸上皮細胞株IEC-6におけるTRPV4 mRNA発現をRT-PCR法により確認後、蛋白発現をウエスタン法および免疫染色法により検討した。免疫染色の結果、TRPV4蛋白は小腸上皮細胞基底膜側に局在することが確認された。 2)ラット小腸上皮細胞株IEC-6単層培養系による透過性の評価(経上皮電気抵抗):ラット小腸上皮細胞株IEC-6培養をトランスウェル内で単層培養し、コンフルエント状態まで培養した後に、トランスウェルの上層および下層間の電気抵抗をモニターし、電気抵抗を測定することができた。この系の下層(基底膜側)に非選択的NSAIDsであるインドメサシンを添加すると経上皮電気抵抗が約40%減弱する(透過性亢進)。さらに下層(基底膜側)にインドメサシンと共にと共に特異的TRPV4阻害剤(RN1734)添加すると電気抵抗は回復した。すなわち、インドメサシンによる上皮細胞の透過性亢進の一部はTRPV4を介して惹起されることが推定された。 3)ラット小腸上皮細胞株IEC-6 を用いたTRPV4 siRNA導入細胞による検討:ラット小腸上皮細胞株IEC-6 にTRPV4 siRNAを導入し、上記同様に単層培養系を用いてトランスウェル上層および下層間の電気抵抗をモニターし、下層にインドメサシンを添加しても経上皮電気抵抗の減弱は起こらず、小腸上皮単層培養系でのインドメサシンによる透過性亢進はTRPV4を介することが確認された。
以上から、今年度の研究計画目標であった非選択的NSAIDsインドメサシンによる小腸上皮細胞の経上皮電気抵抗の減弱(透過性亢進)はTRPV4を介することが確認できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度の研究計画目標であった非選択的NSAIDsインドメサシンによる小腸上皮細胞の透過性亢進はTRPV4を介することを試験管レベルでの検討から確認することができたため、研究は、おおむね順調に進展していると評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画に沿って、次年度は個体(マウス)レベルでインドメサシンによる小腸上皮細胞の透過性亢進、小腸潰瘍形成を評価する。
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Causes of Carryover |
今年度の試験管レベルでの検討は研究室内に購入済の残試薬等により実施されたため残額が生じたが、次年度はノックアウトマウスを使用した個体実験が予定されているため、多額の経費が必要と予想され、次年度に繰り越した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
ノックアウトマウスを使用した個体実験
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