2017 Fiscal Year Research-status Report
NSAIDs小腸潰瘍の初期病変に関連する標的分子TRPイオンチャネル
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15K08947
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
杉山 敏郎 富山大学, 大学院医学薬学研究部(医学), 教授 (00196768)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三原 弘 富山大学, 大学院医学薬学研究部(医学), 助教 (00612623)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | NSAIDs / 小腸潰瘍 / 細胞膜透過性 / TRPV4 |
Outline of Annual Research Achievements |
非ステロイド系鎮痛剤(NSAIDs)による小腸潰瘍の発生頻度が検査技術の進歩に伴って予想以上に高いことが明らかにされてきた。しかし、NSAIDs小腸潰瘍発症機序の詳細は不明で、予防法も明らかでない。実験動物による検討から、NSAIDs潰瘍形成は抗生剤投与によって抑制でき、腸内細菌あるいは代謝産物による局所炎症が重要であることが判明しているが、炎症惹起因子の組織内透過にNSAIDsがどのように関与しているかは全く不明である。 (1)NSAIDsによる小腸上皮細胞膜透過性亢進機序とTRPV4 ラット小腸上皮細胞株IEC-6単層培養系を用いた研究から、NSAIDs添加後にアラキドン酸カスケードの代謝産物である8,9EETが小腸上皮細胞内に蓄積し、この代謝産物がTRPV4の活性化を介して、小腸上皮細胞の膜透過性亢進を惹起していることが判明した。さらに膜透過性亢進には少量のLPSも必要で、これは腸内細菌由来と考えられ、この面からもNSAIDsによる小腸潰瘍形成に腸内細菌叢が関連していることが理解できる。しかし、NSAIDsによる小腸潰瘍予防のために腸内細菌叢を大きく変化させることは、現実的な予防戦略とはできないため、この系を用いてTRPV4活性化阻害効果を有する薬剤のスクリーニングが必要である。 (2)TRPV4活性化阻害薬のスクリーニング 上記のラット小腸上皮細胞株IEC-6単層培養系を用いた研究からTRPV4活性化を介して、小腸上皮細胞の細胞膜透過性亢進を惹起していることが判明したため、この系を用いてTRPV4活性化阻害効果を有する薬剤のスクリーニングを行った。この検討から、ある種の既存薬がTRPV4活性化阻害効果を有することが判明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ラット小腸上皮細胞株IEC-6単層培養系を用いた研究からTRPV4活性化を介して、小腸上皮細胞の細胞膜透過性亢進を惹起していることが判明したため、この系を用いてTRPV4活性化阻害効果を有する薬剤のスクリーニングを行った。この検討から、ある種の既存薬がTRPV4活性化阻害効果を有することが判明した。今後、NSAIDs添加時の透過性亢進阻害作用を有する既存薬を用いて野生型およびノックアウトマウスにおけるNSAIDs小腸潰瘍形成に対する薬効評価の評価が必要である。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)臨床試験に向けた準備
上記の検討で明らかにされたNSAIDs添加時の小腸上皮細胞膜透過性亢進阻害作用を有する既存薬を用いて、野生型およびノックアウトマウスにおけるNSAIDs小腸潰瘍形成に対する薬効評価の評価を予定している。また、この成績を基盤に臨床試験も計画中にある。
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Causes of Carryover |
動物実験、臨床試験による検討の実施が遅延したため。
上記検討で明らかにされたNSAIDs添加時の細胞膜透過性亢進におけるTRPV4代謝産物定量に時間を要した。しかし、結果として代謝産物の蓄積を明らかにできたために、スクリーニングされた阻害作用を有するある種の既存薬を用いて、野生型およびノックアウトマウスにおけるNSAIDs小腸潰瘍形成に対する潰瘍形成薬効評価の評価を予定している。また、この成績を基盤に臨床試験も計画している。
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Research Products
(1 results)