2016 Fiscal Year Research-status Report
小腸幹細胞を用いた難治性小腸疾患モデルの作成と治療法の開発
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15K08964
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山田 篤生 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (80534932)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平田 喜裕 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (10529192)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 小腸 / 粘膜障害 / 幹細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
H27年度は我々が樹立した小腸癌細胞株SIAC1細胞と、野生型マウス小腸粘膜から分離した幹細胞の三次元培養によってオルガノイドを作成し、成長因子、サイトカイン、低分子阻害剤などによる刺激によって経時的に増殖成長速度を検討した。EGFやRspo1はもともとマウスオルガノイドの培養に必須であり、濃度依存性に増殖速度の増加がみられた。一方でSIAC1細胞株のオルガノイドはRspo1非依存性に増殖した。また小腸の分化マーカーを検討したところ、DAPT、 porcupine阻害薬の投与でSIAC1オルガノイドのMUC2やアルカリフォスファターゼの発現が増加がみられた。 放射線による小腸傷害のモデルとして、培養した野生型マウスオルガノイドに放射線を照射して、形態変化を検討した。放射線照射後数日でオルガノイドの縮小がみられ、アポトーシスが増加していることを確認したが、ASK1ノックアウトオルガノイドでも同様の変化であった。 H28年度は小腸粘膜の分化におけるe-cadherinの機能、またその機能発現における幹細胞性の検討を行った。Lgr5-creERTマウスとe-cadherinのコンディショナルノックアウトマウスを交配し、三次元培養でオルガノイドを作成した。その後タモキシフェンを投与し、in vitroでe-cadherinをノックアウトしたところ、オルガノイドは三次元構造を維持できず、死滅した。一方KRT-creERTマウスとe-cadherinのコンディショナルノックアウトマウスを交配し、KRT19陽性分化小腸細胞においてタモキシフェンによる遺伝子変異を誘導した。 すると一時的なオルガノイド構造の破綻と腺管、出芽様の構造が消失するが、タモキシフェンを除去すると数日で元のオルガノイドの形態を回復した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
既報で検討したSIAC1細胞、マウス小腸粘膜からオルガノイドを作成し、薬剤の影響のスクリーニングを行い分化マーカーの発現変化させる薬剤を同定しえた。 また小腸オルガノイドを用いた小腸傷害モデルの一例として、放射線傷害モデルを解析した。あらたに小腸の形態維持におけるe-cadherinの役割と、Lgr5陽性幹細胞とKRT19陽性分化細胞の違いを解明した。
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Strategy for Future Research Activity |
マウス小腸粘膜から作成したオルガノイドに種々の薬剤を投与し、小腸粘膜傷害モデルを作成する。さらに治療薬物や標的蛋白をスクリーニングする。また小腸癌細胞で遺伝子異常がみられるKras遺伝子、およびTGFbR2遺伝子の変異マウスからオルガノイドを作成し、野生型との発育、分化の違いを検討する。小腸疾患の組織の免疫染色を行い、e-cadherinの発現とびらん性疾患の関連、さらに薬剤投与歴等を検討する。
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