2015 Fiscal Year Research-status Report
炎症性腸疾患の個別化治療を目指した全ヒト型抗体製剤の薬物動態解析法の確立
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15K08967
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Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
安藤 朗 滋賀医科大学, 医学部, 教授 (90252395)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 炎症性腸疾患 / IgG / アダリムマブ |
Outline of Annual Research Achievements |
2002年に抗TNF-α抗体であるインフリキシマブ(IFX)の投与が可能となりクローン病(CD)の治療法が大きく変化した。TNF-αは、CDの病態形成に主要な役割を果たしているサイトカイン(免疫反応をおこす蛋白の総称)の一つで、このTNF-αをキメラ抗体(IFXの25%がマウス蛋白の構造で、75%がヒトの蛋白の構造であることからキメラ抗体と呼ばれる)で中和することによりCDの病勢が劇的に改善するだけでなく、これまでの治療法ではほぼ不可能であった粘膜治癒(内視鏡的潰瘍病変のほぼ完全な消失)を目指すことが可能となった。すなわち、抗TNF-α抗体の登場により内視鏡的治癒を目指すという非常に高度なレベルに変化したといえる。また、腸管合併症が進行して非可逆的な腸管合併症に至る前の発症早期から抗TNF-α抗体の投与を開始することによって、CDの自然史をコントロールすることも可能になったとも言われている。IFXに加えて、2010年にはマウス蛋白を全くもたない全ヒト型の抗TNF-α抗体アダリムマブ(ADA)の投与も可能となり、抗TNF-α抗体はCD治療の中心となっている。 全ヒト型抗TNF-α抗体(アダリムマブ)を用いて、その血中濃度の測定系、および薬剤に対する中和抗体の測定系を確立した。ヒトの血清中に存在する正常のIgGの非特異的結合をblockするため、TNF-αをビオチン化してアビヂンプレートに結合することにより、非特異的IgGの影響をほぼ完全に押さえることに成功した。また、中和抗体についてもprotein-Aビーズで吸着の後、酸処理により中和抗体を測定できることを確認した。今後、臨床応用目指して、患者の血清を用いた検討に進む予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
非特異的IgGの結合をblockすることに成功するまでに多少の時間を要したが、おおむね順調に研究は進行していいる。
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Strategy for Future Research Activity |
臨床応用を目指して、患者血清検体を用いて、臨床症状や炎症マーカーとの関連を検討する。
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Research Products
(1 results)
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[Journal Article] Increased Expression of Interleukin-36, a Member of the Interleukin-1 Cytokine Family, in Inflammatory Bowel Disease.2016
Author(s)
Nishida A, Hidaka K, Kanda T, Imaeda H, Shioya M, Inatomi O, Bamba S, Kitoh K, Sugimoto M, Andoh A.
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Journal Title
Inflammatory bowel disease
Volume: 22
Pages: 303-314
DOI
Peer Reviewed / Acknowledgement Compliant