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2016 Fiscal Year Research-status Report

肝細胞癌における表面抗原発現パターンに基づいた癌幹細胞標的新規治療法の開発

Research Project

Project/Area Number 15K08992
Research InstitutionKanazawa University

Principal Investigator

大石 尚毅  金沢大学, 医学系, 協力研究員 (20507040)

Project Period (FY) 2015-04-01 – 2018-03-31
Keywords肝細胞癌 / 癌幹細胞 / 上皮間葉系移行 / HDAC阻害剤 / DNMT阻害剤
Outline of Annual Research Achievements

本年度はまず昨年度からの継続で癌幹細胞表面抗原発現パターンに応じた幹細胞性の検討を行った。上皮様特性を有した細胞株ではセフェロイド形成能および腫瘍形成能が高いことが判明し、一方、間葉様特性を有した細胞株では自己複製能、腫瘍形成能は低く、遊走・浸潤能が高いことが判明した。上皮様細胞株ではEpCAM陽性細胞で特に腫瘍形成能が高く、間葉様細胞株ではCD56陽性群、CD90陽性群で遊走・浸潤能が高い結果であった。以上の結果から、上皮様特性を有する肝癌細胞では腫瘍形成能を、間葉様特性を有する肝癌細胞では遊走・浸潤能を抑制することが治療として重要であると考えられた。
次に、肝癌細胞株を用いてHDAC阻害剤とDNMT阻害剤の感受性、耐性について検討を行った。上皮様細胞株ではHDAC阻害剤に対して高感受性を示し、特にEpCAM陽性群では感受性が高かった。一方、CD133陽性群、EpCAM陰性CD133陰性群では感受性は低値であった。間葉様細胞株ではDNMT阻害剤に対して高感受性を示し、特にCD56陽性群、CD90陽性群では感受性が高く、CD56陰性CD90陰性群では感受性が低かった。以上のことから、上皮様肝癌の治療としてHDAC阻害剤は有用であるものの幹細胞マーカーにより効果が差があることが判明し、間葉様肝癌の治療としてはDNMT阻害剤が有用であると考えられた。
上皮様肝癌においてEpCAM陽性群およびCD133陽性群をEpCAM陰性CD133陰性群と比較検討し、両群における遺伝子発現パターンの相違を検討した。転写因子の解析により8個の有意な転写因子が同定された。一方間葉系肝癌においてCD56陽性群およびCD90陽性群をCD56陰性CD90陰性群と比較検討し、有意な転写因子6個が同定された。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

本年度は当初予定した研究をほぼ行うことができた。昨年度未検討であったヌードマウスを用いての幹細胞性の検討を行ったうえで、上皮様肝癌および間葉様肝癌におけるHDAC阻害剤、DNMT阻害剤の感受性、耐性の検討を施行した。癌幹細胞表面抗原発現パターンに応じた幹細胞性の検討、HDAC阻害剤、DNMT阻害剤感受性と癌幹細胞表面抗原の関連性の検討は終了している。HDAC阻害剤、DNMT阻害剤の感受性にかかわる因子の検討においてアレイ解析、比較検討は終了した。ChIP-Seq解析に関しては、現在細胞の固定法などの調整を行っており、準備が整い次第解析を行う予定である。当初の予定と異なり、上皮様肝癌においてEpCAM陽性群とCD133陽性群で異なる結果が得られているが、今後は両群を比較検討することでHDAC阻害剤の有効性を探る予定である。

Strategy for Future Research Activity

本課題における研究は順調に進んでいる。現在ChIP-Seq解析が終了していないが、ChIP-Seqに関しては、現在細胞の固定、溶解、クロマチン断片化など最良の条件を検討している状態である。徐々にDNA断片の回収効率は上昇しており、早々に条件が整うものと考えられる。条件が整い次第解析を開始する。すでに遺伝子発現パターンによるアレイ解析は終了しており、そのデータとChIP-Seqのデータを照らし合わせ新たな治療標的の同定を行う予定である。治療標的としては転写因子が最適と考えている。また、HDAC阻害剤、DNMT阻害剤との併用を検討しているCisplatin、Bleomycin、Mytomycin-C、Etoposideはすでに準備されており、これらの薬剤で発現が変化する経路も同定している。その為併用による効果の検討は来年度速やかに行う予定である。
次年度は予定通り、新規同定した転写因子の阻害剤をHDAC阻害剤またはDNMT阻害剤と併用し、低感受性群における上乗せ効果を評価する予定である。

Causes of Carryover

本研究ではChIP-Seq法を用いて遺伝子発現調整の解析を行う予定である。本年度ChIP-Seq解析の条件設定を行っており、現在準備段階である。その為ChIP-Seq解析を施行しておらず、DNA断片回収にかかる予算その分の予算が次年度使用額として生じている。

Expenditure Plan for Carryover Budget

次年度、ChIP-Seqの条件設定を終了し、DNA断片を回収、解析を行う予定である。DNA断片の回収が終了すれば、それ以後の過程は予定通り行うことが可能となっており、本研究を順調に遂行できると思われる。

  • Research Products

    (2 results)

All 2016

All Presentation (2 results)

  • [Presentation] 幹細胞および上皮間葉系移行表面抗原による予後不良肝癌の同定とEpCAM発現調節機構の解明2016

    • Author(s)
      大石尚毅、山下太郎、金子周一
    • Organizer
      第52回日本肝臓学会総会
    • Place of Presentation
      千葉県
    • Year and Date
      2016-05-19
  • [Presentation] HNF4AはEOB-MRI肝細胞相高信号のHCCにおいて成熟肝細胞様の特徴を維持に重要である。2016

    • Author(s)
      大石尚毅、山下太郎、金子周一
    • Organizer
      第102回日本消化器病学会総会
    • Place of Presentation
      東京都
    • Year and Date
      2016-04-21

URL: 

Published: 2018-01-16  

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