2015 Fiscal Year Research-status Report
肝硬変の小腸脂質吸収障害に対するBCAA(分枝鎖アミノ酸)の保護作用の解明
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15K09008
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
竹下 英次 愛媛大学, 医学部附属病院, 講師 (40750542)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 安則 愛媛大学, 医学部附属病院, 講師(病院教員) (20649066)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 肝硬変 / 小腸粘膜 / 消化吸収機構 |
Outline of Annual Research Achievements |
肝硬変患者にみられる栄養障害での独立した予後不良因子として体脂肪量をはじめとした脂質吸収障害がある。従来、肝硬変患者においては小腸粘膜に形態変化が生じていること、小腸粘膜上皮におけるカイロミクロン合成関連蛋白の発現低下により吸収障害を起こしていることを報告してきた。一方、分岐鎖アミノ酸(BCAA)は、小腸粘膜の再生促進、粘膜保護作用などの消化管機能への関与が示唆されており、今回、脂肪酸吸収能に対するBCAAの役割とその改善効果を明らかにすることを目的として研究を開始した。 平成27年度は、BCAAを投与された肝硬変患者の小腸長鎖脂肪酸(LCFA)吸収動態を明らかにする目的で、小腸LCFA吸収能を評価する目的で先行研究で確立した内視鏡下13C標識LCFA負荷試験を行った。 小腸LCFA吸収動態の変化に関与するkey moleculeの解明を目的とし、同時に空腸粘膜生検も行った。小腸粘膜上皮の形態学的評価を、絨毛形態はHE染色、粘膜内リンパ管は抗D2-40抗体、粘膜内血管は抗CD31抗体による免疫染色を行うことで、形態学的・組織学的変化の比較検討、およびLCFA吸収関連蛋白発現を評価を行った。さらに画像解析を用い絨毛長と絨毛幅を計測し絨毛上皮の萎縮や過形成の有無についても評価した。 さらに小腸粘膜におけるLCFAの取り込み⇒輸送⇒カイロミクロン合成・排出には、主に①長鎖脂肪酸受容体 glycosylated CD36、②細胞内脂肪酸輸送蛋白、③カイロミクロン合成関連蛋白 などが関与することが知られており、これらについてreal-time PCR法にてmRNA量を、Western blot法にて蛋白発現量を定量化し評価を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在までの研究の症例数を平成28年度も継続して重ねてゆく予定であるが、27年度の進捗状況としてはごくわずかに遅れているもののおおよそ想定通りと考えます。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度の研究内容の継続により症例数を重ねながら、肝組織、血液および画像データを用い、小腸LCFA吸収動態の変化と、肝の炎症、線維化、発癌、またインスリン抵抗性などの病態との関連を解析することで、BCAAが小腸脂肪酸吸収機能の改善に寄与するか否か、またそれが肝硬変の病態に如何に関与するかについての解明を進めたい。
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Causes of Carryover |
内視鏡下13C標識LCFA負荷試験、空腸粘膜生検と形態学的・組織学的変化の比較検討等行ったが予定よりも症例数が若干少なく次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
引き続き内視鏡下13C標識LCFA負荷試験、空腸粘膜生検と形態学的・組織学的変化の比較検討等の症例数が増やしてゆく予定である。
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