2016 Fiscal Year Research-status Report
AMPK活性化とGSK3阻害によるワールブルグ効果抑制を介した肝癌制御の基礎検討
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15K09012
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
中尾 一彦 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 教授 (00264218)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
玉田 陽子 長崎大学, 病院(医学系), 助教 (70393460)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 肝細胞癌 / ワールブルグ効果 / 微小環境変化 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度は、平成27年度に引き続き、通常培養条件下、微小環境変化(低酸素、高血糖・高インスリン、肝細胞増殖因子存在、分枝鎖アミノ酸欠乏状態等)条件下における、肝細胞のエネルギー代謝であるミトコンドリア呼吸系と解糖系のバランス、ワールブルグ効果の程度を、細胞外フラックスアナライザーXFを用いて解析を行った。その結果、肝癌細胞は通常状態において、すでに解糖系優位の代謝状態にあり、低酸素条件下ならびに高血糖・高インスリン培養条件下では、HIF-1の誘導に一致して、さらに解糖系優位な代謝状態にシフトすることが確認された。また、この時に、AMPKのキナーゼ活性が時間依存性に抑制されることが明らかとなった。さらに、AMPK活性化薬剤であるメトホルミンの添加により、解糖系優位にシフトした代謝状態が通常培養条件下に戻る傾向にあることも観察された。低酸素条件下ならびに高血糖・高インスリン培養条件下で誘導される上皮間葉移行関連遺伝子発現もメトホルミンの添加により抑制されることが確認された。一方、肝細胞増殖因子添加、分枝鎖アミノ酸欠乏状態では肝癌細胞の代謝状態の変化は軽微なものにとどまった。GSK3β活性に関しては、低酸素条件下ならびに高血糖・高インスリン培養条件下でAMPK活性と相反し、活性が増強される傾向にあることが観察されたが、その程度は弱く、現在再検討中である。GSK3β阻害剤に関する実験も現在実施中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
主たる研究手法をメタボロノーム解析から細胞外フラックスアナライザー解析へと変更したため。
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Strategy for Future Research Activity |
細胞外フラックスアナライザー解析を進め、一定の結果を得たところで、最終的にはメタボロノーム解析を行う予定である。
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