2015 Fiscal Year Research-status Report
肝細胞癌に対する不可逆電気穿孔法(IRE)における細胞死の分子機構と有効性の検討
Project/Area Number |
15K09025
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Research Institution | Tokyo Medical University |
Principal Investigator |
小林 功幸 東京医科大学, 医学部, 講師 (20379746)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杉本 勝俊 東京医科大学, 医学部, 講師 (20385032)
大城 久 自治医科大学, 医学部, 准教授 (60381513)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 肝臓 / 不可逆電気穿孔法 / 肝細胞癌 / ラジオ波焼灼療法 |
Outline of Annual Research Achievements |
肝臓に対する不可逆電気穿孔法(IRE)後の病理組織学的変化を検討した。IRE後早期の組織学的所見は肝細胞のアポトーシス、NADPH染色性の低下、類洞内およびDisse腔側へのうっ血所見、胆管上皮・門脈内皮の剥離を認めた。一方、類洞の細網線維、膠原線維は保たれていた。デジタル顕微鏡支援形態計測による定量的評価ではIREのパルス数の増加とともに門脈炎、胆管炎の増強を認めたが、門脈・胆管の蛋白の抗原性(CK7, Caldesmon,factor 8)は保たれていた。一方、ラジオ波焼灼療法(RFA)では線維組織及び門脈・胆管の染色性は消失していた。MIB-1染色では治療翌日よりIRE部の胆管上皮のMIB-1 indexは非IRE部に比し、著明に上昇し(80% vs 9%)、門脈内皮のindexは治療3日後にピークに達した(50% vs 10%)。 以上の組織学的所見よりIREはRFAとは異なり、類洞構造・門脈域、蛋白の抗原性が比較的保持され、胆管等の脈管は焼灼後早期より再生性変化を認めたことより,RFAではリスクの高い太い脈管に近接する肝癌に対するIREの治療適応が期待された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
以下のブタ肝臓に対するIRE後早期、亜急性期における分子病理学的解析を終了した。 1)肝臓に対するIRE後早期、亜急性期における分子病理学的解析 2)肝臓に対するIRE及びRFAによる各種肝組織の細胞障害の病理学的比較検討より、各治療法の利点、欠点を明らかにする 3)肝臓に対するIREの治療条件の最適化 上記の結果に対して国内学会・国際学会での発表を行い、現在、論文投稿中である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、ヒト肝細胞癌に対するIRE前後の病理組織学的検討およびその治療効果より本治療法の臨床的有効性を明らかにする。特に、ブタ肝臓における病理組織学的所見の結果より、太い脈管に近接する肝癌に対するIREの有効性・安全性についてさらなる検討を行う予定である。
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Causes of Carryover |
ブタ肝臓に対する不可逆電気穿孔法の実験およびヒト肝細胞癌に対する不可逆電気穿孔法における臨床研究が若干、遅れたために次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
主としてヒト肝細胞癌に対する不可逆電気穿孔法の電極針の費用として使用する予定である。
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Research Products
(4 results)