2016 Fiscal Year Research-status Report
骨格筋低分子マイオカインによる肝代謝制御メカニズムに関する研究
Project/Area Number |
15K09026
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Research Institution | Tokyo Medical University |
Principal Investigator |
松崎 靖司 東京医科大学, 医学部, 教授 (50209532)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
本多 彰 東京医科大学, 医学部, 教授 (10468639)
池上 正 東京医科大学, 医学部, 教授 (40439740)
宮崎 照雄 東京医科大学, 医学部, 講師 (60532687)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 慢性肝疾患 / マイオカイン / 分岐鎖アミノ酸 |
Outline of Annual Research Achievements |
慢性肝疾患では,エネルギー代謝やアンモニア解毒などの肝機能を,骨格筋において分岐鎖アミノ酸(BCAA; バリン,ロイシン,イソロイシン)の異化反応を亢進させて,代償する。 骨格筋におけるBCAAの1つであるロイシンの異化反応では,mTORの活性化を通して,蛋白合成能を高める3-hydroxy-3-methylbutyrate (3HMB)が代謝副産物として骨格筋から放出される。この3HMBが,肝細胞の蛋白合成に対するマイオカイン作用について評価するため,昨年度から,培養肝細胞を用いて,アルブミン合成に対する作用を検討している。昨年は,非腫瘍性正常肝細胞株に対して,3HMBが培養細胞より排泄されるアルブミン量をわずかながら高める作用を確認した。今年度は,アルブミン合成能が低下した肝疾患モデルとして脂肪肝培養細胞モデルを用いて3HMBのアルブミン排泄に対する作用について検討を行った。脂肪肝培養細胞モデルは,中性脂肪合成関連遺伝子(SREBP-1c)を正に制御する核内受容体LXRの合成リガンドTo901317を添加して作成した。脂肪肝培養細胞に対し,3HMBを添加した際のアルブミン合成・排泄について検討したところ,正常細胞と同様に,顕著なアルブミンの合成ならびに排泄は確認できなかった。そのため,今後は,肝細胞に及ぼすマイオカイン作用について,3HMB以外のBCAA代謝物について検討する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
慢性肝疾患では,低下する肝機能を代償するために亢進する骨格筋での分岐鎖アミノ酸異化反応の活性化にて,分岐鎖アミノ酸の代謝産物が骨格筋より放出される。これまで,この分岐鎖アミノ酸の代謝物の1つである3-hydroxy-3-methylbutyrate (3HMB)のmTOR活性化を介した蛋白合成促進作用に着目し,培養細胞を用いて肝細胞のアルブミン合成能に及ぼすマイオカイン作用について検討したが,期待していたほどの効果は確認されなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
骨格筋の分岐鎖アミノ酸の異化過程では,バリンの中間代謝物である3-hydoxyisobutyrate(3HIB)が生じ,骨格筋より放出される。この3HIBの肝細胞に及ぼすマイオカインとしての生理作用について,培養細胞と動物実験の両面から評価する予定である。
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Causes of Carryover |
3-hydroxy-3-methylbutyrateの肝細胞におけるアルブミン合成能に及ぼす効果について検証したが,仮説より効果が弱かったため,計画よりやや進捗状況が遅れているため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
分岐鎖アミノ酸代謝物の肝細胞に及ぼすマイオカイン作用の検証を行う上で,他の代謝物に焦点を変えて,より効果的なマイオカイン作用を有する代謝物について,in vitroとin vivoの両面から検証するために,研究費を効率的に使用する様,心がける。
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