2015 Fiscal Year Research-status Report
自己組織化ペプチドハイドロゲルを用いた効率的な肝再生細胞療法開発のための基盤研究
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15K09030
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
中村 徹 久留米大学, 医学部, 助教 (30341332)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池園 友 久留米大学, 医学部, 助教 (10461419) [Withdrawn]
古賀 浩徳 久留米大学, 医学部, 教授 (90268855)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ペプチドハイドロゲル / iPS細胞 / 肝硬変 / 肝再生 / 細胞療法 |
Outline of Annual Research Achievements |
【方法】Wistarラット正常肝及び四塩化炭素誘導硬変肝に対しペプチドハイドロゲル(PuraMatrix)を肝組織内に注入する。その際、PuraMatrix濃度(0.25~2.5%)と投与量(0.2~1.0ml)を振り分け、生体への安全性と有効性を検討する。検討項目は、肝線維化抑制効果と肝再生促進効果の両者を検討する。前者に対しAzan染色及び抗I型コラーゲン、抗αSMA抗体、抗TGFβ1抗体を用いた免疫組織化学染色による免疫局在の観察、後者に対し抗PCNA抗体を用いた免疫組織化学染色による免疫局在を観察し対照群と比較する。 【結果】1)PuraMatrix濃度が濃い場合、血管内への誤流入が高率に発生し、肺塞栓等を引き起こし死亡させてしまうことが分かった。安全性を考慮すると、投与濃度は1.0%以下の濃度にすべきと判断した。投与量については一葉当たり0.2ml程度が限界と判明。0.5ml以上投与した場合は、前述同様、血管内への誤流入が高率に発生し、肺塞栓等を引き起こし死亡させてしまうことが分かった。以上より、投与濃度0.25%,投与量0.2mlと設定し、in vivo実験を行った。2)治療的意義を考え、四塩化炭素誘導硬変肝(四塩化炭素を週2回6週間投与し、肝線維症モデルラットを作製)に対しPuraMatrixを投与したところ、肝線維化の程度は若干の増悪を認めた。対照群と比較し、その程度に有意差を生じない程度だったことから、今度は正常肝に対し同様の実験を行なったところ、PuraMatrixを注入した部位を中心に過剰の線維沈着を認めた。以上の結果から、PuraMatrix単独(iPS由来の細胞なし)での治療効果は乏しいことが分かった。さらに、現在の投与方法(肝臓への直接投与)では十分な安全性を確保できない(PuraMatrix投与24時間以内の生存率が100%ではない点)と考え、投与方法の再検討を行う考えである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成27年度に計画した動物実験を行ったところ、PuraMatrix単独(iPS由来の細胞なし)での治療効果に乏しかった、現在の投与方法(肝臓への直接投与)では十分な安全性が確保できなかったという問題点が生じた。以上の結果より、PuraMatrixの投与方法から再考する必要性が生じたため。
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Strategy for Future Research Activity |
【in vivo実験方法の変更と新たな動物実験モデル作製の確立】ヒトiPS由来細胞を10%スクロースで混和させた後にPuraMatrixを混和させ、生体内へ注入する前にゲル化させる。その後30Gy針を通じてゲルを細分化させ、脾臓内へ注入し(脾臓を経由して)肝臓内へ生着させることとする。移植する肝臓についてはこれまで同様、正常肝及び四塩化炭素誘導硬変肝に対し投与する。ただし使用細胞がヒト由来細胞であるため、用いる動物をNOD-SCIDマウス(免疫不全マウス)へ変更する必要性が生じた。H28年度はNOD-SCIDマウスを用いた四塩化炭素誘導肝硬変マウスモデル作製の確立を目指す。並行して下記のin vitro実験をH28年以降の計画通りに実施する。 【in vitro実験(H28年以降の計画通り)】ヒトiPS細胞より間葉系幹細胞、血管内皮細胞へ分化誘導させる。分化誘導後の細胞はFACS解析などでその特性を確認する。ヒトiPS細胞由来肝細胞は市販(リプロセル社)されているものを用いる予定である。
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Causes of Carryover |
新たな物品を購入することなく既存の物品を用いて研究を遂行できたため、結果的に予定の購入費用を抑制でき、次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
残高を次年度の物品費用に上乗せする予定である。
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[Journal Article] Ex vivo expansion of circulating CD34+ cells enhances the regenerative effect on rat liver cirrhosis2016
Author(s)
Toru Nakamura, Hironori Koga, Hideki Iwamoto, Victor Tsutsumi, Yasuko Imamura, Masako Naitou, Atsutaka Masuda, Yu Ikezono, Mitsuhiko Abe, Fumitaka Wada, Takahiko Sakaue, Takato Ueno, Masaaki Ii, Cantas Alev, Atsuhiko Kawamoto, Takayuki Asahara, Takuji Torimura
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Journal Title
Molecular Therapy - Methods & Clinical Development
Volume: 3
Pages: 1-13
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research / Acknowledgement Compliant