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2017 Fiscal Year Research-status Report

B型肝炎ウイルスのHBs抗原が関与する肝発癌機序の解明に関する研究

Research Project

Project/Area Number 15K09033
Research InstitutionNational Institute of Infectious Diseases

Principal Investigator

加藤 孝宣  国立感染症研究所, ウイルス第二部, 室長 (20333370)

Project Period (FY) 2015-04-01 – 2019-03-31
KeywordsHBV / 粒子形成 / 細胞培養モデル / HBs抗原 / HBcr抗原
Outline of Annual Research Achievements

本年度はB型慢性肝炎の進展と病態に影響を与えるHBc領域の変異が、HBVのライフサイクルに与える影響について検討を行った。HBc領域のP79QとI97Lの変異はB型慢性肝炎の病態に関与していることが報告されており、これらの変異株が検出される患者ではHBV DNA量が低く、ALTが鎮静化し、HBs抗原が消失しやすいため治療介入の必要性が低いことが報告されている。そこで、これらの変異がHBV関連蛋白質の蓄積やウイルス粒子産生能に与える影響の解析を行った。HBVの複製が可能な遺伝子型C株のHBV複製コンストラクトを用い、P79QとI97Lの変異を入れた株を作製した。それらのコンストラクトを培養細胞に導入し、HBs抗原量とHBcr抗原量、さらにウイルス粒子産生に与える影響について評価した。HBc領域のI97L変異を持つ株を導入した細胞では、培養細胞内、培養上清中ともにHBs抗原量のわずかな低下を認めたが、ウイルス粒子の材料と考えられるHBcr抗原については低下していた。また、感染性ウイルス粒子の産生能を検討したところ、培養上清中の感染力価も低下していた。そこで、複製コンストラクト導入時に培養細胞中でカプシドにパッケージされているHBV DNA量を測定したところ、これらの変異株ではカプシド内HBV DNA量も低下していることも明らかとなった。以上の結果から、これらのHBc領域の変異はHBVコア蛋白質を低下させることで、HBVのウイルス産生能を減弱させると考えられた。今後、得られた結果を複数のHBV株で検討した上で、これらの変異が影響する感染性ウイルス粒子の産生過程についても詳細な検討を行いたい。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

HBc領域のP79QとI97Lの変異がHBs抗原の産生と蓄積、さらにウイルス粒子の材料であるHBcr抗原の産生に与える影響の評価を行った。HBVの複製が可能な遺伝子型C株の1.4倍長のHBV複製コンストラクトにこれらの変異を導入し、培養細胞にトランスフェクションした後に、培養細胞内と上清中のHBs抗原量及びHBcr抗原を測定した。その結果、HBs抗原量は培養上清中、細胞内ともに大きな差を認めなかったが、HBcr抗原については細胞内での低下が認められた。これらの所見はI97L変異を持つ株でより強い効果を示していた。さらに細胞内でカプシドにパッケージされているHBV DNA量を測定したところ、これらの変異株ではカプシド内HBV DNA量が低下していることが明らかとなった。また、これらの変異株を導入した細胞から産生されたウイルス粒子について検討したところ、I97L変異株では培養上清の感染力価が低下していることが明らかとなった。以上の結果から、HBc領域のI97Lの変異は感染細胞内でのコア蛋白質の産生量を低下させ、カプシドへのHBVゲノムのパッケージ効率が低下した結果、感染性ウイルス粒子産生効率が低下していることが明らかとなった。今後、これらの結果を複数のHBV株で検討することで確認し、さらに詳細な作用機序について明らかにしたい。

Strategy for Future Research Activity

本年度の検討の結果から、HBc領域のI97Lの変異が感染性ウイルス粒子の産生効率に影響を与えていることが明らかになった。我々の検討の結果、これらの変異はHBs抗原の産生には影響を与えないが、コア蛋白質の産生量を低下させ、コア蛋白質からなるカプシドにパッケージされているHBV DNA量の低下が感染性ウイルス粒子の産生効率低下に関与していると考えられた。これまでの報告から、臨床上はこれらの変異が肝炎の活動性や肝発癌を低下させることが知られている。従って、これらの感染性ウイルス粒子産生効率の低下が、HBVが関与する肝発癌と密接に関与していると考えられた。今後はこれらの変異が関わる感染性ウイルス産生能の低下の機序について詳細な検討を行いたい。
また、HBVの各遺伝子型の中で、遺伝子型C株は肝発癌への関与が強いことが報告されている。これらの観察された事象が遺伝子型C他のHBV株や、他の遺伝子型の株でも保たれているか、について複数のHBV複製コンストラクトを用いて検討を行う予定である。

Causes of Carryover

これまでに得られた結果から、複数のコンストラクト用いた検討が必要と判断し、研究期間の延長を申請した。

URL: 

Published: 2018-12-17  

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