2015 Fiscal Year Research-status Report
硬化性胆管炎マウスモデルを用いた胆管癌起源細胞の同定
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15K09039
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
内野 康志 東京大学, 医学部附属病院, 登録研究員 (00748725)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中川 勇人 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (00555609)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 肝外胆管癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
1. 胆管上皮特異的にKras,TGFbR2,E-cadherin変異を導入することによって、90%以上のマウスにわずか4週で肝外胆管癌を発症することがわかった。本マウスの肝外胆管癌は、高分化から中分化型の腺癌が肝外胆管全長を這うように進展しており、いわゆるperiductal infiltrating typeの胆管癌の組織像を呈していた。また腫瘍組織にはマクロファージをはじめとした炎症細胞や活性化線維芽細胞の浸潤を認め、ヒトの胆管癌の微少環境も模倣したモデルと考えられた。 2.マウス肝外胆管からのオルガノイドを安定して培養する技術を確立することができたため、Cre陰性のLSL-Kras;TGFbR2FF;CDH1FFマウスの肝外胆管からオルガノイドを培養し、Cre発現レンチウイルスを用いてex vivoで遺伝子変異を導入した。さらにこの遺伝子改変オルガノイドを免疫不全マウスの皮下に移植すると、in vivo同様の腺癌を形成することがわかった。 1,2のようにin vivo, ex vivoで新規的な肝外胆管癌モデルを確立することができたため、現在その発癌機序解明と起源細胞の同定に取り組んでいる。 3.一方で肝内胆管については上記遺伝子改変によって門脈域の炎症とductular reaction、胆管上皮細胞の異型性変化は認められるものの、明らかな肝内胆管癌を形成するには至っていない。そのため肝外胆管と肝内胆管は遺伝子変異に対する感受性が異なるものと推察され、その原因についてさらに解析を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
肝外胆管癌マウスモデルについては安定したフェノタイプが確認され、現在解析へと進んでいる。一方で、肝内胆管癌については、観察期間内に明らかな癌とまでは至っておらず、さらなる検討が必要である。
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Strategy for Future Research Activity |
胆管上皮特異的Kras,TGFbR2,E-cadherin変異マウスおよびオルガノイドを用いて、発癌メカニズム解明と起源細胞の同定を試みる。
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Causes of Carryover |
前年度は遺伝子改変マウスの交配によるフェノタイプの解析がメインであり、まだ病態メカニズムの解析を行う前段階であった。そのため当初の予定ほどの研究費はかからなかった。しかし次年度からは本格的なメカニズム解析に入るため、より研究費が必要となると考えられる。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
肝外胆管癌発症メカニズム解明のためのin vivo, in vitro実験試薬、および起源細胞同定のためのさらなる遺伝子改変マウス(レポーターマウス)との交配。
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