2015 Fiscal Year Research-status Report
患者由来膵癌異種移植腫瘍を用いたエピジェネティック因子を標的とした新規治療の開発
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15K09040
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山本 恵介 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (10608532)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
立石 敬介 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (20396948)
伊地知 秀明 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (70463841)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | エピジェネティクス / 膵癌 / 癌関連線維芽細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々はこれまでに膵癌におけるエピジェネティック異常の意義につき検討・報告してきた。今回、患者由来膵癌組織より樹立した異種移植腫瘍 (Patient-derived tumor xenograft; PDX)パネルを用いたEpigenetic drugの前臨床的スクリーニングにおいて、PDXに対し抗腫瘍効果を有する化合物ESP001 (Epigenetic Suppressor of PDX No.001)を同定した。本研究の目的は、この知見を複数の患者に由来するPDXで確認すること、作用機序を解明すること、治療奏功性との関連因子を探索することであり、こうした前臨床のエビデンスの蓄積により、ヒト患者での自主臨床試験への橋渡しを図ることである。
平成27年度の研究により明らかにされた知見は以下の通り。膵癌患者2症例に由来するPDXにおいて、それぞれESP001が腫瘍増殖速度を著明に抑制することを見出した。さらに、これら得られた腫瘍の検討により、ESP001はヒト膵癌細胞の増殖を著しく抑制すること、その一方でapoptosisはわずかしか誘導しないことを見出した。さらに、ESP001投与群では腫瘍における膠原線維増生が著しく低下し、さらにaSMA陽性の癌関連線維芽細胞(CAF)が減少していることを見出した。ESP001の膵癌細胞ならびにCAFに対する直接的な作用機序をそれぞれ詳細に検討するため、PDX腫瘍よりヒト膵癌細胞を、またヒト膵癌組織よりCAFを単離し、in vitroでの培養を確立した。今後、これらを用いてさらに検討をすすめる予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究期間内の目標は以下のとおり: 1)患者由来膵癌より樹立したPDXを用いてESP001の抗腫瘍効果を確認する 2)ESP001がヒト膵癌細胞に及ぼす影響を検討する 上記目標のうち、平成27年度は1)に関しては予定通り遂行し、予定通りの研究成果を得ることができた。2)に関しては、1)の結果から、膵癌細胞・CAFのそれぞれに対する影響を平行して検討する必要が明らかとなったため、そのための実験系の確立に方針を変更している。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度平成28年度の目標は、ESP001がヒト膵癌細胞、CAFに及ぼす影響をin vitroで詳細に検討することで、平成27年度にin vivo実験で得られた知見に対する機序の解明を主眼に据える。
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Causes of Carryover |
引き続き、実験・研究を遂行するため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
前年度に引き続き、主に細胞培養試薬・マウス代・マウス飼育費用にあてる。
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