2015 Fiscal Year Research-status Report
IgG4関連硬化性胆管炎における内視鏡的胆道生検、NBIを用いた新規診断法
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15K09047
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
窪田 賢輔 横浜市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (70381499)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中島 淳 横浜市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (30326037)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | IgG4関連硬化性胆管炎 / 内視鏡的生検 / IgG4 / FOXP3 / CD163 |
Outline of Annual Research Achievements |
【対象と方法】日本胆道学会のIgG4-SCの診断基準において準確診以上のproximal typeのIgG4‐SC(n=46)と、PSC(n=29)を対象とし、以下の鑑別診断と予後を検討した。1.血清IgGとIgG4値。2.画像診断所見;Long segment without obstruction(LSWO)、diverticula pouch (DP)、beaded appearance (BA)。3.内視鏡所見(十二指腸乳頭部腫大)。4.内視鏡的胆道生検所見(IgG4染色を用いた胆管、十二指腸乳頭部生検)。5. 長期予後(癌合併、Kaplan-Meier法による予後解析)。【結果】1. IgG4-SCとPSCにおいて血清IgG(平均値ma/dl)は2552 vs 1917、p=0.113、IgG4(561 vs 82、p=0.033)であった。2. IgG4-SCとPSCにおいて画像所見の陽性率はそれぞれ、LSWOは93%(43/46)vs 4%(1/28)、p<0.001、DPは2%(1/46)vs 66%(19/29)、p<0.001、BAは2%(1/46)vs 97%(28/29)、p<0.001であった。3. IgG4-SCとPSCにおいて乳頭部腫大は63%(24/38)vs 9%(0/28)、p<0.001であった。4.IgG4-SCとPSCにおいて、内視鏡的胆管生検はそれぞれ1例においてのみ有用であった。一方、十二指腸乳頭部生検は、IgG4‐SCにおいて76%(19/25)に有用であった。IgG4-SCとPSCとの鑑別困難な6例でsteroid trialを施行した。5.癌合併はIgG4‐SC5例(膵2、胆道1、悪性リンパ腫、肺)、PSC3例(すべて胆道)であった。 PSCでは3例に移植を行った。Kaplan Meier法による生命予後はIgG4SCvsPSC;1年82%vs86%、2年71%vs75%、3年60%vs71%、5年39%vs51%であった(Logrank=0.369)。【結論】1.多くのIgG4‐SCはPSCと画像診断により鑑別可能であるが、内視鏡的生検診断は困難である。2.十二指腸乳頭部生検は、補助診断として有用な可能性がある。3.癌合併は差がなかった。4. IgG4-SCの予後はPSCと同様である可能性が示唆された。5.胆道生検では、十分な検体量が得られなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
症例数が当初より不足しており、病理組織学的検討に進めない状況である。 現状ではProxima type IgG4SCは46例であり、うち内視鏡生検は14例のみ施行した。一方、対照症例の原発性硬化性胆管炎(PSC)29例、肝門部胆管癌は50例集積した。IgG4SC症例の生検検体が20例集積してから、免疫染色を行う予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は2つの方向性があり 1.内視鏡による画像診断:Narrow Band Imagingによる強調画像で、IgG4SCの補助診断に有用な所見を見出し、鑑別診断への有用性を確認することである。 これは38例のIgG4SC症例の検討で、表面血管増強、強調画像が得られた。 2.免疫染色:免疫染色IgG4のみを胆管、乳頭部の7例に対し行ったが、1例のみで診断に有用であった。十分な症例の蓄積を待ち、さらに検体採取の内視鏡生検鉗子を見直し、現状の2.8㎜径のものではなく、太径の3.5㎜以上の鉗子の使用を行う。その結果、十分量の生検組織を採取し、データを整えてから集中的に病理組織の検討に移行する。 以上2点の効率化、検体増加のための工夫を行う。
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