2016 Fiscal Year Research-status Report
膵炎発症抑制に関与する制御性B細胞の解析と治療応用の検討
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15K09053
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Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
西尾 彰功 関西医科大学, 医学部, 准教授 (50362463)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 急性膵炎 / 自然免疫 / 制御性B細胞 / Toll-like receptor |
Outline of Annual Research Achievements |
急性膵炎は膵局所の炎症にとどまる軽症例から、多臓器不全を合併して致死的となりうる重症例まで多彩な臨床像を呈する疾患である。膵炎発症には膵組織内での消化酵素の活性化による自己消化が主因とされてきたが、近年宿主の免疫反応の関与も提唱されている。本研究では膵炎発症に制御性に作用するB細胞について検討した。本年度はセルレインとリポポリサッカライド(LPS)投与により発症するマウス急性膵炎モデルを用いて、膵炎発症における制御性B細胞の関与について検討した。まず、LPSがtoll-like receptor(TLR)4のリガンドであることより、TLR9リガンド刺激による膵炎発症について検討した。野生型マウス、インターロイキン(IL)10欠損マウスにTLR9リガンドであるCpG-oligodeoxynucleotideを投与すると膵炎が発症し、IL-10欠損マウスでは野生型マウスと比較して低用量で発症したことから、膵炎発症抑制におけるIL-10産生の重要性が示された。次に、CD19欠損マウスにセルレイン/LPSを投与した場合の膵炎重症度について検討した。CD19欠損マウスでは野生型マウスと比較して血清アミラーゼの上昇を伴い組織学的に膵炎の重症化が認められた。CD19欠損マウスに野生型マウスから分離したIL-10を産生するB10細胞を移入した後にセルレイン/LPSを投与すると、非移入群と比較して膵炎の軽減が認められた。以上の結果からセルレイン/LPSにより誘導されるマウス急性膵炎モデルにおいてIL-10産生B細胞が膵炎の軽減に関与することが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
CD19欠損マウスにセルレイン/LPS投与による膵炎発症の検討は順調に進行した。しかし、マウス脾細胞から分離したB細胞を、LPS、BAFF、IL-21、CD40で刺激してIL-10産生B細胞の誘導を試みたが、目的とするCD5陽性B細胞を十分量回収できず、細胞表面マーカーおよびIL-10産生能の検討とマウス移入後の膵炎発症抑制実験が施行できなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
マウス脾細胞から分離したB細胞の培養で目的とするCD5陽性B細胞を十分量回収できるよう培養条件を検討する。得られたB細胞の表面マーカーおよびIL-10産生能の検討を行い、マウスに移入した後のセルレイン/LPS投与による膵炎発症の抑制効果を検討する。 CD19欠損マウスにpoly I:Cを投与した場合の自己免疫性膵炎発症について検討する。さらに、CD19欠損マウスにCD5陽性B細胞の移入を行いpoly I:Cを投与した後の膵炎発症抑制効果について検討する。
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Causes of Carryover |
マウス購入費と染色標本作製料が予定していた金額より少なくて済んだため次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
野生型および遺伝子改変マウスを用いた膵炎モデル作製の動物実験を行うためのマウス購入・飼育と膵臓組織の染色標本作製に使用する。 IL-10産生抑制性B細胞の分離培養とマウス移入後の急性膵炎発症抑制実験に使用する。 マウス自己免疫性膵炎モデルを用いてIL-10産生抑制性B細胞の膵炎発症抑制効果の検討に使用する。
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Research Products
(7 results)