2015 Fiscal Year Research-status Report
大腸がんリンパ節転移の分子機構の解明及びリンパ節転移術前予測マーカーの開発
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15K09059
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
武石 俊作 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部, 特任研究員 (80417162)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高山 哲治 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部, 教授 (10284994)
藤野 泰輝 徳島大学, 大学病院, 医員 (60747442)
六車 直樹 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部, 准教授 (90325283)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | がん / リンパ節転移 / ノックアウト / CRISPR Cas / micro RNA / 内視鏡 / over surgery / biomarker |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、大腸がんリンパ節転移の分子機構の解明を目的としている。申請者らがこれまでに発見したリンパ節転移に関わる候補遺伝子をsingle及びmultiでknock out (KO)した細胞株を樹立し、mouseを用いた実験により転移の状態及び細胞の遺伝子的背景を明らかにすることが目的である。今年度はKO株の樹立が主な目的である。 使用する細胞株は当初microRNAの発現の観点から、HT29及びDLD1の使用を考えていたが、リンパ転移がんから樹立されたSW620を用いる方がより直接的で効果的であろうという議論になり、こちらを使用することとした。CRISPR Cas9 systemを用いFas, XIAP, mTOR, HIF1a, IGF1RのKOを試みた。CRISPR Cas9 systemでは、Cas9のmRNAとtarget geneのDNAの一部を含むguide RNAを細胞にトランスフェクションするが、SW620のKOに関する報告は少なく、トランスフェクション効率が低いことが理由の一つだと考えられる。我々の研究においても、lipofection法、複数のelectroporation法を試みているが、高効率でのトランスフェクションが実現できていない。しかし低効率ながらFasのKOは実現できており、現在single cell screeningを行っている。他の遺伝子に関しては、guide RNAの設計の見直し、複数の装置におけるそれぞれのelectroporationの条件検討を行っている。 当初の予定からすると遅れを生じているが、KO細胞の樹立に最も時間を要することは予想されており、現状の遅れは想定の範囲内で今年度中にカバーできると考えている。同時にmouseを使った実験に関しても、研究協力者の六車先生と検討を開始しており、KO株樹立後効率良くin vivo実験に入れるように準備中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
遅延の最大の理由は、使用した細胞へのCas9のmRNAとtarget geneのDNAの一部を含むguide RNAのトランスフェクション効率が予想以上に低く、KO条件検討に時間を擁していることである。また遺伝子によってはトランスフェクション効率だけではなく、CRISPR Cas9によるKOメカニズムの一部である遺伝子の切断が、うまく働いていないと考えられるものもあり、その遺伝子に関してはguide RNAの設計に苦慮している点も遅延の理由となっている。検討パラメーターも多いため、遅れを取り戻すためにもう少し時間が必要であるが、条件が見つかれば遅れを取り戻すだけのスピードアップは可能だと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
基本的には当初の計画と変更する点はない。 遅延の回復に対しては、guide RNAの設計、トランスフェクション方法及び条件の検討が主な検討項目であるが、パラメーターが非常に多いため、目的物をトランスフェクションする前の予備実験段階で、GFP遺伝子など視覚的に確認しやすいものをトランスフェクションして、トランスフェクション条件を更に詳細に検討する。その後遺伝子によっては複数のguide RNAを設計し、同時並行的にトランスフェクションを行う条件を増やすことで、遅延を取り戻していきたいと考えている。どうしてもうまく行かない場合は、細胞の種類を変更することも視野に入れているが、以後の実験のことを考えて、現在のところSW620を使用する方針を変更する予定はない。 また遺伝子の転移に対する影響のin vivoでの検討に関しては、優先順位をつけて段階的に進めていきたいと考えている。従って、本年度後半にはin vivoとex vivoの検討を同時に進める時期があることが推測されるが、対応可能だと考えている。またそのように進めることで、万一遅延が100%回復できなかった場合でも、目標の達成率を上げ、効果的に次の展開につなげていけると考えている。
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Causes of Carryover |
ほぼ全額使用したが、今年度最終段階で購入予定であった低額消耗品が納期の都合で入手できなかったため、余剰を生じる結果となってしまった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度初期段階の実験において必要な消耗品の購入によって、使用する予定である。
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