2015 Fiscal Year Research-status Report
糖尿病心筋における細胞内レニンの細胞保護作用の検討
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15K09073
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
加藤 秀樹 浜松医科大学, 医学部, 助教 (80314029)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 洋 浜松医科大学, 医学部附属病院, 講師 (30293632)
林 秀晴 浜松医科大学, 医学部, 教授 (50135258)
早乙女 雅夫 浜松医科大学, 医学部附属病院, 助教 (70509512)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ミトコンドリア / ERK1/2 kinase / ミトコンドリア膜電位 / 細胞内レニン |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、心筋細胞内レニン・プロレニンが細胞を保護する機構について、① レニン、プロレニンレセプターである(プロ)レニン受容体を介する経路と、② (プロ)レニン受容体を介さない経路について検討し、アンジオテンシン受容体を介して細胞障害的に作用する従来のレニン・アンジオテンシン・アルドステロン系とは異なる、細胞内RAAS系の病態生理的意義を明らかにすることを目的とする。今年度はレニンがミトコンドリアに作用する際に、レニン、プロレニンレセプターである(プロ)レニン受容体を介する経路として、レニンによりミトコンドリア内の情報伝達分子のリン酸化が惹起されるか否かについて検討した。p38MAP, Akt, ERK1/2 の各々のkineaseにおいて検討した。レニン投与によりERK1/2はリン酸化が促進されたが、p38MAP とAktについてはリン酸化は変化を認めなかった。これらの結果から、レニンのミトコンドリアに対する直接作用の発現にはERK1/2が関与している可能性が示唆された。次に、ERK1/2の活性がレニンのミトコンドリア機能に及ぼす効果について、ミトコンドリアの膜電位を指標にして検討した。単離ミトコンドリアにレニンを投与するとミトコンドリア膜電位は過分極し、この変化はERK1/2の阻害剤により抑制された。以上より、レニンによるミトコンドリア膜電位に対する効果はERK1/2を介していることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
レニンによるミトコンドリアへの直接効果は、細胞内情報伝達物質であるERK1/2のリン酸化を介していることが明らかとなった。 今後はERK1/2がミトコンドリア膜電位を過分極させる機構についてさらに検討する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はERK1/2がミトコンドリア膜電位を過分極させる機構として、ミトコンドリア遷移性穿孔(mitochindrial permeability transition pore)の関与について細胞膜除去心筋細胞を用いて検討する予定である。
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Causes of Carryover |
実験計画が順調に進んだため、使用する実験動物(糖尿病モデルラット)および実験試薬(膜電位測定のための蛍光色素)の購入金額が予定より少なかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度の実験動物の購入に主として補充する予定です。
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