2015 Fiscal Year Research-status Report
赤血球質的異常に着目した新しい心不全病態概念の確立
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15K09080
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
大谷 朋仁 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (30623897)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木岡 秀隆 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 寄付講座助教 (70642099)
塚本 泰正 大阪大学, 医学部附属病院, 特任助教(常勤) (80747072)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 心不全 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、近年増加の一途を辿り社会的、医療経済的に問題である多様な病態を示す心不全に対し、多面的なアプローチで病態の解明や治療法を確立させていくべく、近年の作成可能となったマイクロ流路と高速ビジョンとを用いた測定系により心不全患者の赤血球変形能の評価を行い、心不全で赤血球に質的異常が生じていることを臨床研究により検証し、各種臨床データの解析から心不全の病態形成に対する寄与を検討するものである。心不全患者および健常コントロール者から採取した臨床検体から、赤血球の変形能に関する検討を進めたところ、心不全患者の赤血球は個々の赤血球の大きさにばらつきが大きくかつ変形能が悪いという結果を得たが、症例数が当初の目標数に達していないため引き続き症例数を増やして検討を進めていく予定である。一方、血管の拡張性は、生体で赤血球が末梢の血管を通過する際に影響を及ぼすもう1つの因子であるが、それらに関連する内皮機能については、赤血球の測定を行った心不全患者おいて内皮機能の低下も認めた。さらにもう1つの因子である血液の粘性に関しては、心不全患者と健常コントロールでは有意な差は認めなかった。次年度以降には、更に症例数を増やしての検討を継続し、赤血球膜の機能に関連すると思われるサイトカインや関連物質などの血液成分に関連する要因や心機能の障害に関連する要因と赤血球の変形能の低下についての検討をまず実施していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は、予備的検討を行ったマイクロ流路測定系を用いて、心不全患者検体数を増やして赤血球の変形能について測定を進めたところ、用いたマイクロ流路測定系では、異常を呈すると思われる心不全患者において赤血球変形能の測定結果に誤差が生じうることが判明した。そのため、マイクロ流路測定系を複数組み合わせて用いて赤血球の変形能をより正確に評価できる新たな測定方法を研究協力者と共に確立し、再度、その測定系を用いて心不全患者および健常コントロールでの検討を再開した。その結果、本年度に結果が得られた検討症例数が当初の予定よりもまだ少なく、そのため血液関連物質の測定や臨床情報の関係性についての検討がまだ十分に進められていないが、測定法の変更後も症例数を予定数に向け積み重ねており、データを収集は現在継続して行えている。
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Strategy for Future Research Activity |
臨床背景情報や各種臨床検査から得られる生理学的要素などと赤血球変形能との関係性の検討を進めて変形能に差を生じることに寄与する要因の同定にまず努め、より早期に変形能低下に寄与する因子の生化学的、分子生物学的検討へ移ることを目標に研究を進めていく予定である。また、引き続き、心不全の病態形成や赤血球機能に関連する臨床的・基礎的な情報収集も継続し、適宜、結果を取りまとめて成果の発表を順次行い、学術発表にも力を入れて取り組んでいく予定である。
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Causes of Carryover |
本研究の経費のうち、今年度の臨床データの検査測定などの検体数が、赤血球自体の測定法の一部変更などにより当初の予定より少なかったため、次年度に繰り越すこととした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度の研究計画に基づき、今年度に予定していたものも含め検体の測定やデータ解析、研究成果発表のための学会出張旅費に使用予定である。
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Research Products
(1 results)