2016 Fiscal Year Research-status Report
拡張型心筋症の新規根治療法に対するバイオマーカー確立
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15K09096
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Research Institution | Tokyo Dental College |
Principal Investigator |
馬場 彰泰 東京歯科大学, 歯学部, 講師 (60296572)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | バイオマーカー / 拡張型心筋症 / 治療 / 血漿交換 / 自己抗体 / カルニチン / 先進医療 / 治験 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度には臨床研究が完結した。すなわち本邦多施設共同治験(DCMレスキュー研究)の直後、平成24年12月から平成28年9月にかけて先進医療Bとして、この企業治験を補完する結果が得られた。これは拡張型心筋症(DCM)の新規根治治療となりうる血漿交換法(免疫吸着療法)の臨床研究であり、企業治験ではバイオマーカー測定が不成功であったため現在でも薬事承認はうけていない。この先進医療Bに参加された被験者のべ25名の血清を用いた基礎研究が本助成研究である。治療バイオマーカーとしての「心抑制性抗心筋自己抗体」の意義が再確認され、以下の総括となった。『当該療法の対象となる慢性心不全(心筋自己抗体を有るもの)の実施回数は、一連につき月5回を限度とするが、最短3か月ごとに(心筋自己抗体が消失するまで)同回数を繰りかえして算定する。』平成28年度には、全被験者の治療前の自己抗体のうち「心抑制性抗心筋自己抗体」を鶏有精卵を用いたバイオアッセイで測定した。上記のように長期間にわたる血清保存にかかわらず測定値に再現性を認めた。さらに治療経過によって本自己抗体がどのような変化をするか、研究最終年度に完結する予定である。またELISA法による測定では、ミオシン抗体、抗β1アドレナリン受容体抗体、抗M2ムスカリン受容体抗体、抗心筋トロポニンI抗体を、IgG全サブクラスについて網羅的に測定した。IgGサブクラス3のELISA測定は初期17例における抗β1アドレナリン受容体抗体にとどまったが、こちらも研究最終年度に完結する予定である。前年度に存在が示唆された新規自己抗原はカルニチントランスポーターOCTN2であることが判明し、バイオマーカーとならないか解析を予定している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
臨床研究は当初予定(平成29年3末)より早期に完了した。しかしながら、平成28年10月より研究者の勤務地が変更となったため、基礎実験の継続には、新たな準備(設備投資)が必要となり実験が遅延している。
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Strategy for Future Research Activity |
基礎実験(ELISAならびにバイオアッセイ)の継続のためには、現勤務地での立ち上げ(測定機器の調達)が必要となる。平成29年3月末までに入手を試みたが実現できておらず、遅くとも平成29年夏までには完了して、実験に着手したい。
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Causes of Carryover |
平成28年10月1日より研究者の所属が、北里大学北里研究所病院から、東京歯科大学市川総合病院へ変更となった。研究環境変動ならびに異動時手続(補助金移管は平成29年1月24日)のため、移動内定の平成28年8月より研究スピードが緩徐となったため。一方で平成28年上半期は、前年度購入した実験試薬残余のため、新規の物品費は不要であった。平成29年2月より新職場で新規入手が必要な設備は、ELISA吸光計と鶏有精卵心臓Mモード観察に必要な心エコー機器であったが、平成29年3月末までに施設内で調整入手することはできなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成29年度が最終研究年度となる。さいわい臨床研究は終了し、そこで入手された患者血液を用いた基礎研究のみが未施行となっている。行うべき実験は、重要なバイオマーカーとなる「心抑制性抗心筋自己抗体」をバイオアッセイで想定すること。特定されている自己抗原に対してはELISA法により全サンプルを想定すること。以上の2つである。前者には鶏有精卵心臓Mモード観察が必要であり、後者にはELISA吸光計が必要である。上記のような理由のために実験継続するために、新規の機器購入(上記2点)が必要となります。それ以外の研究費によって、測定にかかわる消耗品等を物品費として購入します。また、本助成研究を各種学会シンポジウムにて発表する機会が得られるようになり、その出席費ならびに移動交通費も平成29年度には申請いたします。
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