2016 Fiscal Year Research-status Report
拡張期心不全の病態生理の解明と前臨床試験を見据えた新しい実験モデルの開発
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15K09109
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Research Institution | National Cardiovascular Center Research Institute |
Principal Investigator |
高濱 博幸 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 病院, 医師 (10570301)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 心不全モデル / 拡張期心不全 |
Outline of Annual Research Achievements |
病理組織学的評価:当院病理部と共同研究を実施中である。病理部データベースより過去10年間(2006年から2016年)に心筋生検を実施した症例を抽出、EFを50%以上、年齢50歳以上をカットオフクライテリアとすると心不全患者(HFpEF)が42例、非心不全患者35例が抽出された。ここで近年、冠微小血管数と加齢や炎症との関連性を示唆する報告が相次いで公開されている(JAHA, doi: 10.1161/JAHA.115.001770, Circ Heart Fail., DOI: 10.1161/CIRCHEARTFAILURE.117.004179)。そこで本研究では予定していたCD31の免疫染色に加え加齢の指標であるp53関連シグナルやマクロファージ関連の免疫染色を追加して行うこととした。まずプレリミナリーに上記の免疫染色の条件設定を実施、昨年度中に免疫染色の条件設定が完了した。さらに今年度は病理解析システムを新たに導入(Definiens Tissue Studio)した。これにより組織学的評価において自動的かつ客観的な定量が可能となる見込みである。既に免疫染色の条件設定も終了しており、今年度は上記の検体に対し追加染色と病理解析システムを利用した半定量を行う予定としている。 動物実験モデル:当センター研究所と共同研究を実施中である。急性期実験の結果、最適なマイクロスフェアの投与量を確定した。ただ動物に投与する際の冠動脈のエンゲージが困難であった例もありカテーテルの種類選定などの再検討を行った後に今年度は慢性期実験を行う予定である。 血中バイオマーカ:190例の急性心不全患者に対して計4回の血液検査を実施した。解析についても既に完了しており、HFpEF患者においてproBNPのプロセッシングの経過が収縮性の低下した心不全患者と異なることを見いだしている。現在論文を投稿中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
上記のように最近の当該領域の既出報告の結果を受け病理解析については一部免疫染色の追加を予定している。新たな条件検討等を昨年度実施した。また動物実験については使用カテーテルの種類などの検討を行っている。動物実験モデルでの急性期の投与実験の追加を行い、次年度は慢性期プロトコールを策定、実施できる見通しである。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、急性期実験での結果を踏まえて慢性期プロトコールに進む見込みである。
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Causes of Carryover |
昨年度は圧容量曲線の測定に用いるカテーテル類の破損がなく新規購入は予備用の1本にとどまった。また学会発表に関しての旅費の支出は無かった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
カテーテル類は消耗品であり、次年度も購入する予定である。また組織サンプルを用いる各種検討のため試薬類の購入が必要となる。学会発表も見込まれるため、旅費の支出も生じる見込みである。
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