2015 Fiscal Year Research-status Report
遺伝性洞性徐脈の新規因子同定および予防医学への応用
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15K09111
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Research Institution | National Cardiovascular Center Research Institute |
Principal Investigator |
山崎 悟 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 研究所, 室長 (70348796)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北風 政史 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 研究開発基盤センター, 部長 (20294069)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 臨床遺伝 / 洞性徐脈 / ゲノム / 循環器 / 刺激伝導細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、新規洞性徐脈家系の遺伝子変異を同定するために、以下のことを行った。全exomeシークエンスはすでに得られていたので、配列情報から頻度の高いバリアントは取り除き、続いてin silico(計算機)をベースにした、バイオインフォーマティックスの情報を組み合わせて障害度の予測を行った。実際には、GO(ジーンオントロジー)やPubMedなどの知識情報の検討、ヒト遺伝子のアレイなどの発現情報(GEO)やOMIMのヒト疾患情報、マウスのknock outおよび変異体の表現系のデータ、さらにタンパク質のタンパク-タンパク相互作用(PPI)ネットワーク、ランダムウォーク(確率的な変動)を考慮した情報を検討した。その結果、この段階で8個の遺伝子に絞り込むことができた。これらの候補遺伝子には、トランスポーター、Zincフィンガードメインを有する転写因子をコードする遺伝子などが含まれていた。さらに、臨床症状と候補遺伝子のアレルの伝達を確認するために、候補遺伝子のexon間にprimerを設計し、家系構成員12人についてPCR産物をSanger法により直接シークエンスすることにより、cosegregation解析を行った。その結果、すべての遺伝子で伝達を確認することができた。なお、これらの変異については、我々の所有している洞性徐脈の別家系および日本人ゲノムのデータベースと照合したが、候補遺伝子のうち2つについては、既存のバリアントが存在する結果となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
候補遺伝子の絞り込みについては、計画通りに進めることができた。また、Sanger法によるcosegregation解析により、全exomeシークエンスの信頼性も併せて確認することができた。当初の予想と異なる点は、候補遺伝子がやや多くなったことである。その為、機能解析による絞り込み段階まで到達していないが、これは頻度の少ない変異がgenome中に潜在的に多い可能性、あるいは多因子ではないが、複数の遺伝子座の相互作用の可能性を反映していることが考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
上記の課題を改善するために、遺伝子の絞り込み方法として、遺伝学的なアプローチを適用することを計画している(1つは、全exome解析により検出されるバリアントの情報を用いたHamming Distance Ratio(HDR)法、あるいは家系を用いたマイクロサテライト解析を試みる予定である)。また、前年度から準備は行っているが、今後の研究計画のために、in vitroにおける評価系を樹立することを引き続き行う予定である。
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Causes of Carryover |
“現在までの進捗状況”にも触れたように、前年は遺伝子の同定作業に集中した為に予想されたよりも物品費の使用が抑えられ、その結果として次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
“次年度の計画”にしたがって、現在準備を進めている実験計画の遂行に物品費を充てる。また、学会などへの参加および研究関連のサポートも必要とされるため、これらについても前年と同じく費用を充てることを計画している。
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Research Products
(7 results)
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[Journal Article] Higd1a is a positive regulator of cytochrome c oxidase.2015
Author(s)
5.Hayashi T, Asano Y, Shintani Y, Aoyama H, Kioka H, Tsukamoto O, Hikita M, Shinzawa-Itoh K, Takafuji K, Higo S, Kato H, Yamazaki S(○), Matsuoka K, Nakano A, Asanuma H, Asakura M, Minamino T, Goto Y, Ogura T, Kitakaze M, Komuro I, Sakata Y, Tsukihara T, Yoshikawa S, Takashima S.
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Journal Title
Proc Natl Acad Sci U S A
Volume: 112
Pages: 1553-1558
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Impact of Either GLP-1 Agonists or DPP-4 Inhibitors on Pathophysiology of Heart Failure2015
Author(s)
5.Hayashi T, Asano Y, Shintani Y, Aoyama H, Kioka H, Tsukamoto O, Hikita M, Shinzawa-Itoh K, Takafuji K, Higo S, Kato H, Yamazaki S(○), Matsuoka K, Nakano A, Asanuma H, Asakura M, Minamino T, Goto Y, Ogura T, Kitakaze M, Komuro I, Sakata Y, Tsukihara T, Yoshikawa S, Takashima S.
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Journal Title
Nature Communications
Volume: 6
Pages: 6137
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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[Journal Article] An interaction between glucagon-like peptide-1 and adenosine contributes to cardioprotection of a dipeptidyl peptidase 4 inhibitor from myocardial ischemia-reperfusion injury2015
Author(s)
3.Ihara M, Asanuma H, Yamazaki S(○*), Kato H, Asano Y, Shinozaki Y, Mori H, Minamino T, Asakura M, Sugimachi M, Mochizuki N, Kitakaze M. (*corresponding author)
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Journal Title
Am J Physiol Heart Circ Physiol
Volume: 308
Pages: H1287-1297
DOI
Peer Reviewed
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[Presentation] Kir3.1 Channel Mutation, a Novel Therapeutic Target for Familial Sinus Bradycardia and Atrial Fibrillation2016
Author(s)
Noriaki Yamada, Yoshihiro Asano, Tetsuo Minamino, Satoru Yamazaki(○), Seiko Ono, Norio Hashimoto, Toru Yamashita, Minoru Horie, Yoshihisa Kurachi, Issei Komuro, Masafumi Kitakaze, Yasushi Sakata, Seiji Takashima
Organizer
日本循環器学会大会
Place of Presentation
仙台
Year and Date
2016-03-18 – 2016-03-20
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