2017 Fiscal Year Research-status Report
遺伝性洞性徐脈の新規因子同定および予防医学への応用
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15K09111
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Research Institution | National Cardiovascular Center Research Institute |
Principal Investigator |
山崎 悟 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 研究所, 室長 (70348796)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北風 政史 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 研究開発基盤センター, 部長 (20294069)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 臨床遺伝 / 洞性徐脈 / ゲノム / 循環器 / 刺激伝導組織 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、新規洞性徐脈家系の遺伝子変異を同定するために、以下のことを行った。これまでとは別家系の洞性徐脈家系を用いた解析を行ったところ、ある種のカリウムチャネルをコードする遺伝子Xの変異の同定に成功し、in vivoにおける解析により変異体において過剰に電流を流すことが明らかになった。続いて、この過剰な電流のメカニズムの解明を行うために、パッチクランプ法を用いてシングルチャネルの電流を測定した。その結果、野生型に対して変異体では、1つのチャネルに流れる電流量はかわらないが、チャネルの開口時間が延長していることが、明らかになった。次に、遺伝子Xのヒトの変異を導入したトランスジェニックゼブラフィッシュを作成し、病態の再現性について検討した(導入した遺伝子は、心房筋に特異的に発現するように操作し、mCherryという蛍光タンパクの発現をモニターする形で、確認した)。実際には、ゼブラフィッシュのembryo(3日後胚)を用いて、心拍数の測定を行った(この動物は透明で心臓にはGFPが発現するような操作をしているので、in vivoで連続的に測定可能である)。その結果、ゼブラフィッシュの野生型に対して、ヒトの変異を導入したゼブラフィッシュでは心房が肥大し、心拍数が減少した。一方、ヒトの正常遺伝子を導入したゼブラフィッシュでは、心拍数に変化はなかった。なお、神経系に影響は見られなかったので、導入した変異遺伝子の効果は、心臓に特異的であり、病態は再現される結果であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
別家系の遺伝子Xの変異については、電気生理学的な解析をさらに詳細に行うことにより、この変異の機能障害のメカニズムを明らかにすることができた。またトランスジェニック動物の作成は予定通りに進み、ヒトの変異を導入した動物個体において、病態再現性を確認することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
別家系の遺伝子Xの変異についてはトランスジェニック動物の作成が変異の病態再現性が確認できたので、in vitroのレベルも含めて、さらに阻害剤を用いた機能的レスキューの検討を行う予定である。
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Causes of Carryover |
前年は,別家系の機能解析に集中したが、予想されたよりも物品費の使用が抑えられた。それに加えて、今年度に変異機能のさらなる解析および成果発表を控えているため、その結果として次年度使用額が生じた。
使用計画としては、現在準備を進めている実験計画の遂行に物品費を充てる。また、学会などへの参加および研究関連のサポートも必要とされるため、これらについても前年と同じく費用を充てることを計画している。
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Research Products
(5 results)
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[Journal Article] Cartilage Intermediate Layer Protein 1 Suppresses TGF-β Signaling in Cardiac Fibroblasts2017
Author(s)
Kazuhiro Shindo, Masanori Asakura, Kyung-Duk Min, Shin Ito, Hai Ying Fu, Satoru Yamazaki, Ayako Takahashi, Miki Imazu, Hiroki Fukuda, Yuri Nakajima, Hiroshi Asanuma, Tetsuo Minamino, Seiji Takashima, Naoto Minamino, Naoki Mochizuki, Masafumi Kitakaze
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Journal Title
International Journal of Gerontology
Volume: 11
Pages: 67-74
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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