2016 Fiscal Year Research-status Report
The roll of Kv1.3 and KCa3.1 for the differentiation of effector T cells in patients with heart failure
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15K09129
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
佐藤 加代子 東京女子医科大学, 医学部, 講師 (20246482)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 敦 東京女子医科大学, 医学部, 助教 (00625626)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 臨床血管学 / 心不全 / T細胞 / 免疫記憶 / カリウムチャンネル / サイトカイン |
Outline of Annual Research Achievements |
H28年度人口動態統計による死因年間推計では第2位心疾患19万3000人、第4位脳血管心疾患10万7000人、合わせて年間30万人約15%が心血管疾患により死亡している。超高齢化社会となり心不全の割合は増加している。虚血性心疾患や心血管疾患の予後に心不全管理は重要である。本研究では心不全の病態機序や管理に重要なT細胞免疫記憶、エフェクターT細胞 (Teff)分化増殖、TeffであるヘルパーT細胞 (Th)や障害性T細胞 (CTL)、炎症性サイトカインの関与について研究した。 H27度研究で虚血性心筋症、拡張型心筋症、肥大型心筋症、弁膜症性心筋症などによる心不全患者では炎症性サイトカインであるIL17、IFNγが上昇していた。また、T細胞免疫記憶ではCD4 T細胞、CD8 T細胞ともにナイーブT細胞:TN(CCR7+CD45RA+)、セントラルメモリーT細胞:TCM (CCR7+CD45RA-)が減少し、エフェクターメモリーT細胞:TEM (CCR7-CD45RA-)、Teff:TEMRA (CCR7-CD45RA+)が非常に増加していた。H28年度研究でTeffでは①心不全重症度に従いCD4 T 細胞はIFNγ+Th1、IL-17+Th17、CD8 T細胞はCD8+perforin+granxymeB+CTL (Cytotoxic T cell)の増加を認めた。さらに②心不全患者CD4 T細胞、CD8 T細胞では接着分子のうち細胞障害性に関与するPSGL-1がTeffにて発現増加していた。③ TNよりTEMへの分化過程に寄与するカリウムチャンネルKV1.3の特異的阻害剤PAP-1により、T細胞のK電流減少、TEM減少 、Teff分画におけるTh1、Th17、CD8 CTL発現の低下を認め、心不全患者におけるKV1.3チャンネルの役割が重要であることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
1. 慢性心不全患者におけるサイトカインと臨床所見の検討:心不全患者(HF群)末梢血では炎症性T細胞サイトカインIL-2、IL-6、IL-17、IFNγが高値であった。Teffの活性化、特にTh1、Th17、CTLの活性化によるIL17、IFNγ、granxymeBが慢性心不全の病態を増悪する体液性因子の一つと考えられた。 2. 慢性心不全群における免疫記憶とエフェクターT細胞の検討:Cont群およびHF群より末梢単核球(PBMC)を単離しFACSで解析した結果、HF群ではCD4+T細胞およびCD8+T細胞におけるTN(CCR7+CD45RA+)、TCM(CCR7+CD45RA-)の減少、TEM(CCR7-CD45RA-)、TEMRA(CCR7-CD45RA+)増加を認めた。TeffとしてはCD4+Thサブセット(Th1、Th2、Th17、Treg)、CTLサブセット(CD4+TRAIL+CTL、CD8+perforin+granxyme B+CTL)、細胞障害に関与する接着分子PSGL-1発現の増加を認めた。すなわち、心不全ではTEMが分化増殖しTeffとなり心不全病態増悪に関与していると推測された。 3. 電位依存性K+チャンネル(Kv1.3)阻害剤のエフェクターT細胞への影響:T細胞受容体(TCR)刺激により活性化状態となるとKv1.3はTEM細胞で発現亢進し、膜電位やCa2+シグナルの制御に寄与する。そこで、HF群のTEM(CCR7-CD45RA-)、TEMRA(CCR7-CD45RA+)増加がKV1.3チャンネル依存的か、HF群PBMCを特異的KV1.3阻害薬PAP-1で処理しパッチクランプ法でK+電流を解析した。K+電流の減少に伴い活性化したTeffであるTh1、CD8+CTL の発現減少が認められ、心不全のTeff機能亢進にKv1.3が重要であると考えられた。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度までの研究結果を総括し不十分な点を踏まえ、以下の研究を行う。 1. 慢性心不全群におけるT細胞のKv1.3チャンネルによるエフェクター作用増強: HF群ではCD69発現が亢進しT細胞の活性化を認め、Kv1.3の発現上昇、TEM(CCR7-CD45RA-)、Teff (CCR7-CD45RA+)増加、すなわちTh1、Th17、CD8陽性CTL産生サイトカインが増加していた。パッチクランプ法でKv1.3およびKca3.1チャンネル電流を詳細に解析し、HF群におけるエフェクター機能亢進がKv1.3およびKca3.1チャンネル依存的か検討する。 2. Kv1.3とKCa3.1の免疫シナプス形成におけるT細胞活性化機序の解析:TCR刺激によりKv1.3およびKCa3.1は免疫シナプスにZAP70、p56lck、CD3と複合体を形成し、中心部超分子クラスター(c-SMAC)から周辺部超分子クラスター(p-SMAC)に移動、細胞内Ca2+濃度の上昇とT細胞活性化が起こる。そこで、HF群T細胞で免疫シナプス形成を認め、Kv1.3およびKCa3.1、ZAP70、p56lck、CD4、CD8、CD3が成熟シナプス形成に関与しているか検討する。 3. Kv1.3およびKCa3.1阻害剤のTeffおよび免疫シナプスへの影響:HF群で活性化していたTeffや免疫シナプスが特異的KV1.3およびKCa3.1阻害剤で抑制されるか詳細に検討する。PBMCを特異的KV1.3阻害剤PAP-1、またはKCa3.1阻害剤やTRAM-34で処理後、TCR刺激を加え、パッチクランプにてK+電流の減少に伴う、TNとTCMの減少、TEM、TEMRA、CD4+Thサブセット、CD8+CTLや炎症性サイトカイン産生量を解析する。また、シナプス形成にも変化を認めるか共焦点レーザー顕微鏡で観察する。
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Causes of Carryover |
T細胞におけるKV1.3およびKCa3.1チャンネルにかかわるK電流の測定をパッチクランプで試みたが、生細胞を用いて解析するという繊細な実験なため調整に非常に時間を要した。その結果、シナプス実験の施行が遅れ、試薬や消耗品注文が遅れ次年度納入となった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度は本年度に行う予定であった共焦点レーザー顕微鏡による免疫シナプス解析に必要な試薬や抗体などの消耗品の費用が高額となるため次年度使用額が必要である。
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Research Products
(7 results)