2015 Fiscal Year Research-status Report
ダントロレンによるリアノジン受容体を分子標的とした心不全・不整脈治療の臨床応用
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15K09142
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
小林 茂樹 山口大学, 医学部附属病院, 講師 (90397993)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 健 山口大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (50363122)
矢野 雅文 山口大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (90294628)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | リアノジン受容体 / 高血圧 / 心不全 / 弛緩障害 / カルシウムハンドリング / ダントロレン |
Outline of Annual Research Achievements |
背景:筋小胞体膜上に存在するCa2+放出チャネルであるリアノジン受容体(RyR)からの拡張期Ca2+漏出は、収縮・拡張不全や致死的不整脈の機序として重要である。我々は、これまで、収縮不全において悪性高熱症の治療薬であるダントロレンが、RyRからの拡張期Ca2+漏出を抑制し、収縮不全を改善させることを報告してきた。しかしながら、拡張不全に対するダントロレンの効果に関しては、いまだ、明らかではない。そこで、本研究では、1.高血圧による収縮期後期圧負荷が、RyRから拡張期Ca2+漏出を誘発し、心筋細胞の弛緩能障害をもたらすかどうか 2.ダントロレンが、この圧負荷によるCa2+漏出を抑制し、心筋細胞の弛緩能を改善させるかどうかを検討した。方法:培養ディッシュ中の心筋細胞をペーシングし、自由に圧負荷様式(収縮期圧のピークや収縮期圧のピークのタイミング)を変えられる圧負荷システムを独自に開発した。WTマウスより心筋細胞を単離培養し、上記システムを用いて、培養心筋細胞に収縮期,拡張期に圧負荷を行い、Ca2+transient/spark, Cell shorteningを計測し、圧負荷に対する細胞機能への影響を評価した。結果:収縮後期の圧負荷でのみで拡張期Ca2+sparkの増加やCa2+transient波形の下降速度の低下、Cell shorteningで弛緩能の障害が圧依存性に出現した。拡張期の圧負荷では変化を認めなかった。また、ダントロレン投与下で収縮期に圧負荷を行うとCa2+transient/spark, Cell shorteningはともに有意に改善した。結論:収縮期の圧負荷は拡張期Ca漏出を誘発し左室弛緩障害の原因となる。ダントロレンは圧負荷依存性の拡張期Ca漏出を抑制することにより弛緩障害を改善させるため、新たな拡張不全の治療薬としての可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
心不全・致死的不整脈に対するダントロレンの臨床試験に関しては、平成27年度から開始予定であったが、多施設ランダム化介入試験であるため、プロトコールの作成、保険加入、IRB承認に時間がかかり、平成28年度から、開始予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
実験に関しては、順調に進行している。ダントロレンの多施設臨床試験に関しては、平成28年度よりまず、大学病院から、開始する予定である。
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Causes of Carryover |
ダントロレンの多施設臨床研究が平成27年度に開始できなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
ダントロレンの多施設臨床研究を平成28年度から開始予定であるため、平成27年度、ダントリウム購入用に計上していた使用額を平成28年度に使用する予定である。
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Research Products
(8 results)
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[Journal Article] Urinary 8-hydroxy-2'-deoxyguanosine as a novel biomarker of inflammatory activity in patients with cardiac sarcoidosis2015
Author(s)
Kobayashi S, Myoren T, Oda S, Inari M, Ishiguchi H, Murakami W, Fukuda M, Tanaka T, Okuda S, Nao T, Doi M, Yamada J, Okamura T, Hoshii Y, Suga K, Matsuzaki M, Yano M.
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Journal Title
Int J Cardiol.
Volume: 190
Pages: 319-328
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research / Acknowledgement Compliant
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[Journal Article] A low-dose β1-blocker in combination with milrinone improves intracellular Ca2+ handling in failing cardiomyocytes by inhibition of milrinone-induced diastolic Ca2+ leakage from the sarcoplasmic reticulum.2015
Author(s)
Kobayashi S, Susa T, Ishiguchi H, Myoren T, Murakami W, Kato T, Fukuda M, Hino A, Suetomi T, Ono M, Uchinoumi H, Tateishi H, Mochizuki M, Oda T, Okuda S, Doi M, Yamamoto T, Yano M.
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Journal Title
PLoS One
Volume: 1
Pages: e0114314
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research / Acknowledgement Compliant
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