2015 Fiscal Year Research-status Report
新規ミトコンドリア蛋白による心筋アミノ酸代謝制御の解明と心不全治療への応用
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15K09144
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
的場 聖明 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (10305576)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 心不全 / ミトコンドリア / アミノ酸代謝 / キラルアミノ酸 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究背景 高齢化に伴う心不全患者の増加と医療費の増大が社会問題となりつつあり、新たな予防法や治療法が必要である。これまでに心不全の進展には、エネルギー代謝障害、ミトコンドリア障害、酸化ストレスと、それらによる細胞死が大きく寄与していると報告されている。私達は、心不全(圧負荷心不全モデル)において、コントロール群との比較で、新規ミトコンドリア蛋白Xの発現が有意に減少する事をProteome (iTAQ)とmicro array解析により見出した。また二次元HPLC法によるL体及びD体のアミノ酸分析の結果、心不全の進行に伴いミトコンドリア内特定蛋白Xが減少し、心筋に特定D-アミノ酸Yが増加することがわかった。哺乳類においてこれまで組織内に存在すると知られているD-アミノ酸は、D-セリンとD-アスパラギン酸のみである。最近D-セリンは、NMDA受容体に関与して記憶障害、統合失調症の発症に関与することや腎機能障害時の尿中マーカーになることが報告されている。D-アスパラギン酸は、精子の形成時に重要と考えられている。 研究目的 1.この蛋白Xは特定D-アミノ酸Yの代謝の経路の同定 2. 蛋白Xを欠失したマウスにおける特定D-アミノ酸Yの動態の検討 心臓特異的に蛋白Xが過剰発現するトランスジェニックニック(TG)マウス及びノックアウトマウスを作製している。このTGマウスはTACによる圧負荷に対して抵抗性を示しており、蛋白Xが保護的効果を有しているものと考えている。その機序は抗酸化、もしくは抗アポトーシス効果を検討している。(投稿準備中)
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
In vivoモデルとして心臓過剰発現マウス、全身ノックアウトマウスを準備しアミノ酸動態の解析を行っている。蛋白Xがどのようにして特定D-アミノ酸を蓄積させるかについては、既に他大学と共同研究を行い結果が確定しつつある。既に蛋白Xの恒常発現細胞、アデノウイルスを作製し実験に使用しており、蛋白Xノックアウト細胞の作製に成功し、これらとsi RNAを用いる事で蛋白Xの発現制御とその下流分子の研究を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
細胞やミトコンドリアに及ぼすどのような刺激が、蛋白Xを制御しているかを上流、蛋白結合、下流分子の3段階で検討する。ただし反応が細胞腫により反応が異なるため、継代培養可能な心筋細胞であるH9C2細胞を中心に検討する。またマウス心不全モデルの解析を進める。
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