2016 Fiscal Year Research-status Report
転写因子とDNA損傷応答因子による心不全の分子機構解明と治療応用
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15K09145
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
相澤 健一 自治医科大学, 医学部, 准教授 (70436484)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
永井 良三 自治医科大学, 医学部, 学長 (60207975)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 分子心臓学 |
Outline of Annual Research Achievements |
心臓は負荷に対する適応として心筋リモデリングを生ずる。すでに多くの心肥大誘導因子が知られているが、心不全に至る適応破綻の機構は十分に解明されていない。我々はこれまでに心筋間質細胞の転写因子KLF5が負荷適応に重要であり、KLF5のアセチル化はin vitroで細胞増殖に関わることを示してきた。本研究では、KLF5分子のアセチル化とKLF5の相互作用因子であるDNA修復因子(ATM、H2AX等)に着目し、個体レベルで心臓の適応と破綻における役割を明らかにする。さらにこれらと相互作用する因子を単離することにより、新しい治療標的を同定する。平成27年度は、ATMがドキソルビシン心筋症の発症に重要であり、特に、心筋間質細胞のATMが重要な役割を果たすことを示した(Cariovasc Res. 2016)。 KLF5アセチル化はKLF5の転写活性を亢進し、細胞増殖に寄与することが細胞レベル(in vitro)で明らかになったが、個体(in vivo)における役割については不明である。本研究ではKLF5のアセチル化の病態における意義をin vivoで明らかにする。我々はKLF5のアセチル化されるリジン残基をアルギニンに置換したコンディショナルノックインマウス(K369R)を作成した。このマウスは組織特異的Creマウスと交配することにより、心筋細胞や線維芽細胞等の特定の組織に特異的にKLF5の非アセチル化変異を生ずることが可能である。すでに心筋細胞(αMHC)と線維芽細胞(Periostin)特異的Creマウスも準備できている。平成28年度は、前年度に引き続き、これらのマウスの交配により全身ないし、心筋細胞、線維芽細胞特異的KLF5の非アセチル化変異マウスの作成を進めた。今後はそれらのマウスを用いて圧負荷心肥大モデルと心筋梗塞後心不全モデルを作成し、KLF5アセチル化の有無による心臓の負荷応答の相違を明らかにする予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在までは当初計画通り進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究は当初計画通り推進する。具体的には以下の項目について実施する予定である。 1. KLF5アセチル化の心臓の適応と破綻における役割の解明 2. DNA損傷応答因子(ATM, H2AX)の心臓の適応と破綻における役割の解明 3. 心臓の負荷適応と破綻に関する相互作用因子の単離・同定 4. 臨床へのトランスレーション
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Causes of Carryover |
当初支出予定していた物品費、旅費、人件費・謝金、その他の経費はいずれも一部を講座研究費で賄うことができたため、当該年度使用経費に余剰が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今年度未使用経費は次年度以降に繰り越すことにより、次年度以降の研究を加速することが可能と考えている。
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