2015 Fiscal Year Research-status Report
動脈硬化における炎症・免疫機序の解明および新規治療法・予防法の開発
Project/Area Number |
15K09156
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
佐々木 直人 神戸大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (00514746)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 動脈硬化 / 炎症・免疫反応 |
Outline of Annual Research Achievements |
薬剤投与によりFoxp3+ Tregを特異的に減少させることのできるマウス(DEREGマウス)と動脈硬化モデルであるアポリポ蛋白遺伝子E欠損マウス(Apoe-/-)とを交配した。このマウスではTregの減少により血液中のコレステロール値の有意な低下を認めた。DEREGマウスと別の動脈硬化モデルであるLDL受容体遺伝子欠損マウス(Ldlr-/-)とを交配して実験を行った。このマウスでは、Tregの減少は血液中のコレステロール値を変化させることなく動脈硬化病変の形成を促進し、Tregは動脈硬化抑制に働くことが示された。 CTLA-4 の過剰発現マウスとApoe-/-マウスとを交配して検討を行った。CTLA-4 の過剰発現により、大動脈基部の動脈硬化病変形成が有意に抑制されることを見出した。動脈硬化抑制の分子機序としては、in vitroおよびin vivoでの検討を行った結果、活性化T細胞における細胞内への抑制シグナルによる機能・増殖の抑制、および細胞外への抑制シグナルによる抗原提示細胞(樹状細胞など)およびT細胞の活性化の抑制などが考えられた。 動脈硬化退縮における血管周囲での制御性T 細胞の役割の検討に関して、予定した研究方法では血管新生の誘導が得られず、その方法について検討を行っている。 ヒトにおけるUVB 治療が血圧および血管内皮機能に与える影響について検討を行ったが、今のところ、有意な血圧低下や血管内皮機能の改善は認めていない。UVB 治療を受けた患者において、血液中の活性型および貯蔵型ビタミンDの有意な上昇を認めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
おおむね研究計画通りに進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
Tregによる動脈硬化病変形成抑制の分子機序の解明については、脂質の変化の少ないDEREG/Ldlr-/-マウスを用いて検討を行う。 CTLA-4 の過剰発現により動脈硬化の抑制を認めたが、逆に、CTLA-4の発現低下により動脈硬化の悪化を認めるかどうかについてCtla4遺伝子欠損マウスを用いて検討を行う。 動脈周囲における血管新生誘導の方法について検討する。 引き続き、UVB 治療が血圧および血管内皮機能に与える影響についての検討を行う。
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Causes of Carryover |
学術集会参加費用に関して、予定より支出が少なかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究費の使用計画としては、動物実験に使用する遺伝子組み換えマウスの維持管理費用、免疫染色およびフローサイトメトリーに用いる抗体の購入などを考えている。また、研究成果を報告するための学術集会参加費用、論文投稿費用などにも使用する予定である。
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Research Products
(18 results)