2016 Fiscal Year Research-status Report
細胞外マトリックスの3次元的定量による肺の成長・過膨張・気腫形成の病態解明
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15K09172
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
佐藤 晋 京都大学, 医学研究科, 助教 (40378691)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
陳 豊史 京都大学, 医学研究科, 講師 (00452334)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 肺気腫 / 細胞外マトリックス / メカニクス |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度の検討により、一旦統計学的な差を見出すことが出来た結果である巨視的構造的変化の不均一性と、呼吸インピーダンス測定から導き出された不均一性の定量指標との関連性に関して、さらにエラスターゼ傷害の程度を可変し、エラスターゼ負荷用量を5段階に設定し、検討サンプル数各負荷量で充分数確保した。結果、全肺エラスタンス、不均一性の指標(CV-H)だけではなく、気道系の不均一の指標(CV-Raw)などについても十分な解析を実施した。 気道系のCTによる評価は、現時点ではon goingであるが、気腫性病変の不均一性とエラスタンスの不均一性が関連性を示すことがで来た。本研究結果については、本年度の国内学会・研究会に於いて結果を発表した。 本年度はさらに、肺成長と過膨張のモデルとして、より長期間の経時的な変化を観察し、前述の傷害誘導後3週のモデルに加え、傷害誘導後3ヶ月(13週)後のモデルに於いても同様の関連性を確認した。無負荷の健常マウスの経時変化を越えた経時的な肺の容積増加を確認し、気腫肺形成過程の経時的結果の一部を得ることが出来た。構造と機能の関連について、全体平均は当然の関連が有り、さらに構造的不均一性と機能的(インピーダンス)不均一性については関連性があるものの、3週後のモデルとは関連性が一部異なっており、エラスターゼ傷害・肺気腫モデルマウスにおいて、巨視的な構造改変の分布だけでは無く、肺内の物理特性を司る細胞外マトリックスの分布・割合が経時的時相に於いて異なっていると示唆するものと推察された。この差を説明出来る指標として、ECM含有量の分布解析を予定している。 多光子励起レーザー走査型顕微鏡による画像取得プロトコールについては、依然として条件設定を進めている所である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
前年度も予定通り進捗しなかった、多光子励起レーザ走査型顕微鏡による画像取得プロトコールの確立に依然として難渋している。条件設定・温度管理などの問題から、肺の固定法の変更を検討する必要もある。 同時並行して進めているマウスモデルの作成や機能的評価については順次進めている 上記の理由で、固定肺病理標本を用いた古典的手法との整合性の評価については、依然として実施出来ていない。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、多光子励起レーザ走査型顕微鏡による画像取得プロトコール確立と、既に採取・固定済みの標本の画像採取・定量を進める。 同時に条件設定後、速やかに計画を実行するため、他の系の進捗を進める。
前年度確認し得た巨視的な構造の不均一性指標とメカニクスの関連性については、新たな知見であり、本知見は動物モデルに限らず、ヒトにおける評価、実臨床へも応用可能な事項であるため、この事項のみで、本年度中に論文化する計画である。
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Causes of Carryover |
予備実験・条件設定に予想以上に時間がかかった。 平行して実施する実験を前倒しして実施したが、翌年分を確保することが望ましいと考えられた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
多光子励起レーザ走査型顕微鏡による画像取得に利用する
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Research Products
(2 results)