2016 Fiscal Year Research-status Report
Diagnosis methods of lung adenocarcinoma using analysis of urinary protein fragments
Project/Area Number |
15K09177
|
Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
松元 信弘 宮崎大学, 医学部, 助教 (70418838)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | シェディング / 癌特異的酵素 / 尿中蛋白断片 / 癌マーカー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では癌特異的プロテアーゼ活性により生成された尿中シェディング産物を網羅的に探索した分析結果から、癌の臨床において有用なマーカーを探索することを目的としている。 平成28年度は、テストセットとしてI期肺腺癌30例(臨床病期Ia 19症例、臨床病期Ib 11症例)と健常人30名の尿について質量分析を用いたシェディング産物の網羅的解析の分析結果を詳細に検討した。それによって癌マーカー候補蛋白Aを得た。さらに多重反応モニタリング(Multiple Reaction Monitoring, MRM)の手法を用いた解析結果を詳細に検討し、癌マーカーとしての性能をCEAと比較した。CEAの感度、特異度、陽性率と偽陽性率の受信者動作特性曲線における曲線下面積(ROC-AUC)はそれぞれ、47.8%、87%、0.72であったのに対して、マーカーAでは63.3%、84%、0.76であった。さらに、他の尿中蛋白断片マーカーBとマーカーA組み合わせると感度、特異度、ROC-AUCはそれぞれ、76.7、86.7%、0.82となり、診断精度が上昇した。 また、転移を認める進行肺癌患者の検討では、脳転移を有する進行肺腺癌患者11症例、骨転移を有する進行肺腺癌患者24症例と骨転移・脳転移有さない進行肺腺癌患者の間で尿中蛋白断片の比較検討を実施し、脳転移を予測する可能性のある蛋白断片と骨転移を予測する可能性のある蛋白断片を探索した。もっとも性能の良い脳転移予測マーカー候補断片は感度、特異度、ROC-AUCがそれぞれ63%、83%、0.72、骨転移予測マーカー候補断片では、54%、90%、0.71であった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的は、肺腺癌を対象に尿中蛋白質の網羅的末端構造解析によって同定された、癌細胞が生成する尿中シェディング産物を用いて、癌診断に有用なバイオマーカーを確立することである。 平成28年度は早期の診断が進行肺癌患者QOLの維持に重要である脳転移と骨転移を予測するマーカー候補を抽出するとともに、早期癌の診断に寄与する可能性のあるマーカーも探索することができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は更なる症例数の蓄積を進め、得られた知見の検証を進めていく。また、質量分析においても多重反応モニタリングの手法を用いて、マーカー探索の精度を高める。
|
Causes of Carryover |
ELISAキットや尿検体処理などに必要な試薬類が当初の予測よりも安価で購入できたため、次年度使用額が生じた。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度使用額は、当初の予定よりも多くの症例を登録し、検体数を増やすことで研究の精度を向上させるために使用する。
|