Outline of Annual Research Achievements |
RSVを含む成人気道感染患者の血清LL-37値を測定し,気道感染症の重症度とLL-37値との関連を調べる研究である.方法:下気道感染を疑う患者の気道検体を採取し,呼吸器ウイルスを含む原因微生物を調査した.対象は59人(外来/入院n=13/46,年齢中央値70(最小22,最大92)歳,男性n=38)であった.疾患分布は,肺炎n=37,COPD増悪n=6,気管支拡張症n=5,気管支炎n=5,喘息n=3,肺MAC症n=3であった.また,重症患者を人工呼吸器使用,意識障害,血圧低下のいずれかを有した状態と定義した場合,軽症(外来)n=13, 中等症(重症を除く入院)n=34, 重症n=12(死亡n=1を含む)となった.全体の66%(n=39)で原因となる微生物が判明した。RSV検出は全体の5%(n=3)であった.気道感染の原因として判断された細菌は、インフルエンザ菌n=11,肺炎球菌 n=8,肺炎マイコプラズマ,緑膿菌 各n=2,黄色ブドウ球菌,肺炎桿菌,B群溶血性レンサ球菌,大腸菌 各n=1であった. また,気道検体から検出されたウイルスはライノウイルスn=8,インフルエンザウイルスn=6(H1N1 n=2,H3 n=4)RSV n=3(RSV A n=2,RSV A n=1),コロナウイルス n=2 (NL63,OC43 各n=1),ヒトメタニューモウイルス,エンテロウイルス,アデノウイルス 各n=1であった.また,MAC,アスペルギルスも各n=1であった。なお,2種類以上の複数病原体検出も9人で認めた.感染原因別(ウイルス vs 細菌 vs ウイルス+細菌)のLL-37値は3群間に有意差は認めなかった. また,重症度別LL-37(mean±SD)値は軽症67.9±33.6 vs中等症77.0±53.9 vs重症46.9±18.4ng/mlと3群間で有意差を認めなかった.
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