2015 Fiscal Year Research-status Report
次世代型テロメスキャンによる肺癌血中循環癌細胞の解析からウイルス治療薬への展開
Project/Area Number |
15K09191
|
Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
十合 晋作 順天堂大学, 医学部, 准教授 (80365634)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小見山 博光 順天堂大学, 医学部, 講師 (30348982)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 循環腫瘍細胞 / 非小細胞肺癌 / テロメアーゼ |
Outline of Annual Research Achievements |
テロメラーゼはあらゆる種類のがん細胞で高発現する特異的かつ汎用的ながん細胞マーカーである。その特性を利用して、がん細胞に特異的に感染してGFPラベルする遺伝子改変分子標的アデノウイルスを研究分担者水口らが開発した。このアデノウイルスは、血液中のがん細胞選択的に感染後に増殖し、GFPで緑色蛍光標識された生きたCTCのみの検出が可能となる。その次世代型となるテロメスキャン F35は、血球細胞感染時に特異的なマイクロRNAを認識し、GFP遺伝子の翻訳が阻止され血球系細胞の偽陽性の高感度排除を可能とした(論文報告・特許申請済)。 CTC検出法は米国(FDA)で認可されたCellSearch System(CSS法)が主流だが、特に非小細胞肺がんの検出感度は低く、有用性は疑問視されている。これに対してテロメスキャンは、「あらゆるがんで高発現するテロメラーゼ」を認識できる遺伝子組換えアデノウイルスを用い、通常の採血量でも高効率かつ非侵襲的にCTCを捕捉する手法である。この次世代型のテロメスキャンF35で肺がんの早期診断から個別化医療に向けた革新的な手法であることを立証すると同時に、さらに感度を高める技術を組み込んで世界初の画期的な臨床応用システムの実現を目指す。 CSS法では検出できない「EMT-CTC」が化学療法の奏功/耐性/再発予測の臨床マーカーとしての有用性を証明する。そして、治療に有用かつ正確な情報を臨床の現場に提供する技術に仕上げ、がん患者の生存期間の延長、より有効な個別化治療を目指す。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
テロメスキャンF35(OBP1101)は偽陽性を排除可能な高感度CTC測定法として研究代表/担当者十合を共著としてMolecular Therapy - Methods & Clinical Development(2016)にAcceptされ方法論としてのエビデンスは確立された。 テロメスキャンF35によるCTC検出が十分であるか評価するために、感染させたウイルス由来のGFPシグナルだけでなく、CSS法にも用いられるEpCAM、Cytokeratin (CK)等の上皮系細胞表面抗原について免疫染色を同時に実施することで、検出法の裏付けを行った。実際、非小細胞肺がんで同定されたCTCのほとんどはEpCAM陰性のEMT-CTCでありこの事実がCSS法での検出限界とテロメスキャンF35の有利な点であることを確認し、非小細胞肺がんの早期発見にも信頼性の高い測定方法であることを確認した。
|
Strategy for Future Research Activity |
CTCと遠隔転移再発、予後等の臨床情報との関連について検証し、腫瘍マーカーとしての有用性を評価する。そして治療抵抗性で悪性度の高いと考えられるEMT-CTCを標的に治療臨床経過上の推移を測定し、治療奏効/耐性/再発としてのより鋭敏な臨床バイオマーカーであることを実証する。 また、CTCに発現する分子標的薬の奏効に関与するがん関連遺伝子変異、転移関連遺伝子、抗がん剤感受性マーカー、固形がん種別特異的マーカーなどを原発巣遺伝子情報及び表現型との比較解析を行いCTC上にも発現する新たなバイオマーカー分子検出方法の開発から臨床応用まで展開する。
|
Research Products
(2 results)