2015 Fiscal Year Research-status Report
BIM遺伝子多型を層別化因子とした原発生肺癌の個別化治療法の確立
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15K09195
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
磯部 和順 東邦大学, 医学部, 講師 (70385607)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | BIM遺伝子多型 / EGFR遺伝子変異 / EGFRチロシンキナーゼ阻害薬 / 非小細胞肺癌 / BIM-γ |
Outline of Annual Research Achievements |
BIM遺伝子多型の有無が判明しているEGFR遺伝子変異陽性肺腺癌の術後再発症例33例 (BIM遺伝子多型:陽性6例、陰性27例)における手術検体を用いて腫瘍部および非腫瘍部における免疫染色用の未染色用スライドを使用して、BIM免疫染色(Cell Signaling #2997)を行った。免疫染色発現を気管上皮細胞の染色度合いを基準として陰性、弱陽性、強陽性の3段階の評価をおこない、BIM遺伝子多型の関連性を明らかにした。結果、EGFR遺伝子変異陽性肺腺癌における原発巣のBIM蛋白発現はBIM遺伝子多型の有無に一致せず、約半数程度の症例に認められた。以上を第56回日本肺癌学会学術集会(横浜)にて発表した。さらに、mRNAのisoformであるBIM-EL, L, S, γを区別可能なプライマーセットを作成し、Real-time PCR装置(Thermal Cycler Dice; Real Time System)で解析を行った。また、FFPEサンプルのRNA断片化を考慮してリファレンスgene (GAPDH) にて各サンプルごとの発現量を補正し、ターゲットとなる遺伝子のmRNA発現量を確認した。結果、BIMγは8/33例(24.2%)に発現が認められた。BIM遺伝子多型陽性例ではBIMγは全例(腫瘍部:2例、非腫瘍部:2例)で発現を認め、BIM遺伝子多型陰性例のBIMγの発現頻度と比較すると有意に高頻度であった(100% vs.13.8%, p = 00016)。さらに、BIM-γの発現量はBIM-EL,L,Sより有意に高値であった(12.0 ± 15.1 vs. 276.3 ± 163.6, p = 0.0018)以上を第56回日本呼吸器学会学術集会(京都)にて報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
既にBIM遺伝子多型の有無が判明しているEGFR遺伝子変異陽性の原発性肺腺癌の手術検体を選択し、腫瘍を含む部分と含まない部分のブロックを作成した。腫瘍を含む部分と含まない部分のブロックをRNA用検体(10μm、3~4片/1 tube)および、パラフィン包埋法で3μm幅に薄切し、BIM免疫染色用のスライドを作成した。RNA用検体は腫瘍部および非腫瘍部からmiRNeasy FFPE kitを用いてRNA抽出しQubit 2.0 Fluorometerにて定量を行った。さらにPrimeScriptTM RT-PCR KitとTaKaRa PCR Thermal Cycler Dice;を用いてcDNA合成を行い、このcDNAサンプルとBIMEL, E, S, γを区別可能なプライマーセットをReal-time PCR装置(Thermal Cycler Dice; Real Time System)で解析を行った。また、FFPEサンプルのRNA断片化を考慮してリファレンスgene (GAPDH) にて各サンプルごとの発現量を補正し、ターゲットとなる遺伝子のmRNA発現量を更に補正し発現量の増減を確認した。以上の方法で得られたBIMのmRNAレベルで発現パターンとBIM遺伝子多型の関連性を明らかにした。また、腫瘍部および非腫瘍部における免疫染色用の未染色用スライドを使用して、BIM免疫染色(Cell Signaling #2997)を行った。免疫染色発現を気管上皮細胞の染色度合いを基準として陰性、弱陽性、強陽性の3段階の評価を行った。また、BIM遺伝子多型陽性肺腺癌の形態学的特徴を検討した。以上より、平成27年度の実施計画であるRNAレベルと蛋白レベルでのBIMの発現の検討はおおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度の実施計画であるEGFR-TKI の獲得耐性を獲得した再発巣をre-biopsyした組織検体を用いて、獲得耐性であるT790Mの発現、METの増幅、HGFの過剰発現とBIM遺伝子多型の関連性を検討、殺細胞性抗癌剤や血管新生阻害薬の効果や副作用とBIM遺伝子多型の関連性を検討を行っていく予定である。また、EGFR-TKI治療におけるアポトーシス誘導においてBIMおよびPUMAが、キナーゼシグナル伝達ネットワークとミトコンドリア依存性アポトーシスプログラムを相互に結びつける見張り役として関与していることが報告されている(Bean GR et al. Sci Signal 2013;6:Ra20)。今後、BIMとPUMAの関連性の解明が必要であり、RNAレベルと蛋白レベルでのPUMAの発現も検討していく予定である。
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Causes of Carryover |
未使用額は少額であるので、研究はほぼ予定通りに進行している。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
翌28年度分の助成金と合わせて、解析費用や試薬代や学会参加の旅費に使用する予定である。
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Research Products
(2 results)