2016 Fiscal Year Research-status Report
COPD増悪における肺とgap junctionの役割と肺由来新規バイオマーカー
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15K09197
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
石井 健男 日本医科大学, 大学院医学研究科, 研究生 (90445750)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
新井 富生 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所), 東京都健康長寿医療センター研究所, 研究員 (20232019)
辻 隆夫 東京医科大学, 医学部, 兼任講師 (30459664)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | COPD / 増悪 / gap junction / 遺伝子多型(SNP) / 病態関連遺伝子 / バイオマーカー |
Outline of Annual Research Achievements |
①Gap junction蛋白 Cx43の遺伝子型と増悪との関連の検討(担当:石井):Cx43の遺伝子多型について、COPD増悪と関連を本研究で検出すみのrs9320841と異なる1SNP s2892767について検討したものの、増悪との関連を認めなかった。遺伝子型未決定のSNPのうち、遺伝子型決定すべきSNPを選定中(詳細は”推進方策”に記載)。rs9320841は増悪と関連、rs2892767は関連しなかったことから、前者と連鎖不平衡にあるSNPの分布する遺伝子領域が増悪に関連すると目され、機能を検討すべき遺伝子領域はCX43配列の比較的狭い領域と考えられた。 ②Gap junction蛋白 Cx43の末梢血白血球表面での発現量決定:THP1細胞(cell line. 現有)を用いての系の確立を進めるも、フローサイトメトリーにて同蛋白の発現量を定量的に、再現性をもって評価することが難しく、確立に難航。 ③骨髄球系細胞と肺由来細胞共培養によるin vitroでのCx43の機能評価の系:こちらも、系の構築に難航。siRNA(既存のコントロール使用)の細胞への導入効率も安定しておらず、各細胞での導入効率に大きな差があり、さらに導入後の細胞を再度巻き直して共培養する際に、適切な血清の選択に難渋、安定した系の構築ができていない。 ④増悪モデルマウスにおけるGap junction機能促進薬の増悪治療効果の検討(担当:辻):豚膵エラスターゼ(2.5U/匹)を経気道的に注入し肺気腫を作成したC57BL/6Jマウス(肺気腫モデル)はエラスターゼ投与後早期に体重減少も伴い、増悪時の臨床経過に類似していることから、増悪mimicするマウスモデルの系は確立。 ⑤Gap junction蛋白のCOPD肺での発現・分布の病理学的検討(担当:新井):連続剖検症例にて病理学的検討を引き続き行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
in vitroの系の確立に難航、機能解析についての方針変更の可能性あり、やや遅れている状況にある。in vivo, pathologicalな検討についても、当初計画より遅れた状況にある。
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Strategy for Future Research Activity |
①Cx43のSNPとCOPD増悪の関連:遺伝子型決定を行うSNPを限定する予定。すなわち、遺伝子型決定予定の残る数SNPについて、遺伝子型決定すみのSNPとの関連(相関、連鎖不平衡か否か)を1000genome.orgのデータから検討、最低限のSNPのみ遺伝子型決定予定。 ②Cx43の増悪への関与のメカニズム解明:フローサイトメトリーによる方法の確立に難航、ヒトサンプルでの測定は現実的に困難と推測。共培養によるin vitroでの系も確立できていない。系の確立を進めるのと同時に、別の方法での機能解析を検討予定。すなわち、(1)実際の患者での白血球における増悪時のサイトカイン発現(たんぱくレベル)とSNPとの関連を見て、臨床的な観点から同SNPが増悪時炎症に関連しているか検討。(2)A549細胞を用いて、LPS刺激時やステロイドによる炎症を抑えた条件下において、Cx43などのgap junction関連たんぱくの発現量の変化を測定、肺胞のtype II cell(モデル)において炎症状態の変化によってgap junctionたんぱくによる細胞連結状態がmRNA発現量の観点から変化しているかを検討。 ③in vivo, pathologicalな検討について、計画書に準拠して遂行を加速する。in vivoの系については、肺気腫モデルにおいて、肺と全身のCOPD増悪についての評価を行い、モデルとして適正かどうかの検討をさらに進める。肺の気腫性病変の作成評価は病理学的評価として肺のmean cord lengthの計測により、肺の急性炎症の評価は病理学的評価として肺内の炎症細胞浸潤の病理学的評価と、肺胞洗浄による炎症細胞、炎症性サイトカインの評価にて行う。
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Causes of Carryover |
in vitroの系の確立の部分の進捗が遅れ、また、in vivo, pathologicalな検討についても進捗はみられるも、当初申請の計画よりは遅れているため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
推進方策で記載の研究計画に、場合によっては機能解析の部分などは計画変更を交えつつ(研究目的にはalignした内容で)、より進行速度を速めて研究推進予定。
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