2016 Fiscal Year Research-status Report
Development of Engager T cells for immunotherapy of lung cancer
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15K09218
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
岩堀 幸太 大阪大学, 医学系研究科, 特任講師(常勤) (80566448)
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Project Period (FY) |
2015-10-21 – 2018-03-31
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Keywords | がん免疫療法 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度において、BiTE(Bispecific T cell Engager)を分泌する遺伝子改変T細胞であるEngager-T細胞の肺癌に対する抗腫瘍効果の機序を明らかにするために、がん抗原EphA2およびCD3に特異的なBiTEを作成しており、このBiTEを用いて抗腫瘍効果の機序を検討した。がん細胞株の違いにより、BiTEの抗腫瘍効果に違いがみられるため、各がん細胞株に発現する分子を比較検討した。その結果、がん細胞株におけるEphA2抗原、PD-L1の発現量の他に共刺激分子CD80、CD86の発現の違いもBiTEの抗腫瘍効果に関係することが示唆された。CD80、CD86の発現が高い細胞株と低い細胞株を比較すると、CD80、CD86の発現が高い細胞株の方がBiTEの抗腫瘍効果が高い傾向がみられた。現在、制御性T細胞、マクロファージなどのBiTEの抗腫瘍効果に対する影響の解析を行っている。これまでの実験では、制御性T細胞はBiTEの抗腫瘍効果に負の影響をもたらす結果が得られているのに対して、マクロファージについては相反する結果が得られているため、マクロファージのサブタイプごとの影響を解析する実験を進めている。これらの結果から、BiTEの抗腫瘍効果にはがん細胞、制御性T細胞、マクロファージなど腫瘍微小環境を形成する様々な細胞、分子が関係していることが示唆された。これらの知見はEngager-T細胞の抗腫瘍効果を増強させる効果的な治療法の開発につながると考えられる。今後さらに、腫瘍微小環境を構成する細胞およびそれらの細胞に発現する分子のBiTEによる抗腫瘍効果に及ぼす影響について解析を進める予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Engager-T細胞を用いた肺癌に対する免疫療法を開発するための基礎研究として、BiTEの抗腫瘍効果に影響する因子について様々な角度から検証を進め。知見が得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
BiTEの抗腫瘍効果に影響する因子について、さらに検討を進める。
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Causes of Carryover |
実験器具のメーカーを変更することにより節約できた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
主として研究に必要な試薬の購入に使用する。
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