2016 Fiscal Year Research-status Report
デジタルPCRを用いた超高感度マルチプレックス変異検出法の確立とその臨床的検討
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15K09226
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
山本 信之 和歌山県立医科大学, 医学部, 教授 (60298966)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
洪 泰浩 和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (80426519)
赤松 弘朗 和歌山県立医科大学, 医学部, 助教 (10646582)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 分子標的治療 / 新規診断技術 / EGFR変異 |
Outline of Annual Research Achievements |
肺がんはがん関連死の原因として高い割合を占める。特定の遺伝子変異を有する患者においては、分子標的薬剤が著効し、治療成績は向上している。しかしながら、de novo耐性変異等の低頻度変異アリルが存在する時の臨床像は不明であり、治療戦略は確立されていない。肺がんを分子生物学的レベルで解明し、さらなる個別化医療を進めるためには、より高感度な検出系を確立し、生物学的特徴および臨床像を解明する必要がある。本申請では、デジタルPCR 法を用いて承認薬剤の標的遺伝子変異を網羅する測定パネルを開発し、変異検出感度と精度の飛躍的な向上を実現することを目標にしている。加えて、低頻度変異アリル存在時の臨床像を解明し、肺がん個別化医療推進につなげることを目指している。 前年度から引き続き、標的となるEGFR遺伝子変異をクローニングしたプラスミドを用いて、複数の遺伝子変異を同時に検出できるデジタルPCRの測定パネルを確立に取り組んだ。具体的には3種類のEGFR遺伝子変異(L858R、Exon19 Deletion、T790M)を同時に検出する5つのパネル検出系の確立に取り組み、検出系をほぼ確立した。その上で本年度は主に上記EGFR遺伝子変異測定パネルを用いて患者検体での測定用のための臨床試験を実施した。既に組織検体での検討をほぼ終了し、検出用のカットオフ値の設定を行い、臨床研究用に利用することが可能な状態となっている。現在はさらに血液検体からの血漿DNAを用いての検討を実施しており、こちらについてもマルチプレックス化により主要な遺伝子変異の検出を可能とする予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1.標的となるEGFR遺伝子変異をクローニングしたプラスミドを用いて、複数の遺伝子変異を同時に検出できるデジタルPCRの測定パネルを確立に取り組んだ。具体的には3種類のEGFR遺伝子変異(L858R、Exon19 Deletion、T790M)を同時に検出するパネル検出系の確立に取り組み、検出系をほぼ確立した。 2.上記の検出系を用いて臨床検体での検討を実施した。組織検体での測定を既に終えており、現在は血液検体からの血漿DNAを用いた測定を実施している。 3.第三世代EGFR阻害剤の耐性獲得機序として報告されている、EGFR C797S変異に対しての検出系の確立を目指し取り組みを開始した。
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Strategy for Future Research Activity |
血液検体からの血漿DNAを含む臨床検体を用いての検討を進めるとともに、耐性出現の早期予測及び治療効果との相関について評価を進める。具体的には、EGFR阻害剤を投与される患者において、治療開始後のEGFR変異アリル頻度の推移を経時的に観察することで、無増悪生存期間との関係を検討する予定である。また第三世代EGFR阻害剤の耐性の原因となるEGFR C797Sの検出系の確立を目指す。デジタルPCR法を利用した次世代シーケンシングについても引き続き検討を行う。本方法により少量の鋳型DNAの利用においても、網羅的な遺伝子変異解析が実現できる可能性がある。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由として、非常に精度高く検出を行うことができたため、当初の予定よりも大幅に確認のための再測定を減らすことができたことが挙げられる。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度にはさらなる臨床検体を用いての評価を予定しており、その測定に研究費を使用する。加えて、新規の標的の検出を予定しており、その検出系確立に用いる。
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