2015 Fiscal Year Research-status Report
Gefitinib耐性における肺癌幹細胞の静止期維持機構の解明と耐性克服
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15K09230
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
高橋 和久 順天堂大学, 医学部, 教授 (80245711)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 史行 順天堂大学, 医学部, 准教授 (70327823)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 肺癌幹細胞 / Gefitinib耐性 |
Outline of Annual Research Achievements |
EGFRに対するチロシンキナーゼ阻害剤(TKI)であるGefitinibは,EGFR活性型遺伝子変異をもつ非小細胞肺癌(Non-small cell lung cancer; NSCLC)において劇的な腫瘍縮小効果を示す。しかしEGFR-TKI治療における最大の問題点は耐性化であり、ほぼ全例が約1年以内に治療抵抗性となる。一方、癌幹細胞は自己複製能および多分化能を有する未分化な細胞分画であり、抗癌剤や分子標的治療薬に対する抵抗性も高いことから、治療後の再発や薬剤耐性の重要な原因と考えられている。近年、ほとんどの癌幹細胞は静止期(G0期)にとどまっていることが明らかになり、癌幹細胞の治療抵抗性の大きな要因と考えられている。 我々の研究グループは、EGFR変異をもつNSCLC細胞株であるPC9細胞を高濃度のGefitinibで培養し、Gefitinibに対して薬剤抵抗性を示し残存した細胞集団をGefitinib-Resistant Persisters (GRPs)と名付けて解析をし、GRPsは山中因子であるOct4, Sox2や幹細胞性に重要な因子であるNanog, CXCR4, ALDH1A1を高発現し、マウスへの高い腫瘍生着率を示す極めて幹細胞性の高い細胞集団であることを見出した。これらの結果はNSCLCのGefitinib耐性機序において、肺癌幹細胞が重要であることを強く示唆している。また我々は、PC9-GRPsにおいて、G0期維持分子であるFbxw7やp21, p27, p57、そしてFoxO3aの発現が顕著に亢進していることも見出した。これらG0期維持分子はGRPsの幹細胞性を維持することで、EGFR遺伝子変異陽性NSCLCのEGFR-TKI耐性に寄与している可能性がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Gefitinibに対して薬剤耐性を示し残存するGefitinib-Resistant Persisters (GRPs)は山中因子や幹細胞性因子を高発現し、マウスへの高い腫瘍生着率を示す極めて幹細胞性の高い細胞集団であり、細胞周期においてG0期維持分子であるFbxw7やp21, p27, p57、そしてFoxO3aの発現も顕著に亢進していることを見出しているため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、引き続きGRPsの静止期維持機構およびGefitinib耐性におけるG0期維持分子の生物学的役割を明らかにすることを目標とする。具体的には、In vitroでGRPsにおけるG0期維持分子をknockdownして、肺癌幹細胞を静止期(G0期)に維持出来なくさせることで、再びGefitinibに対する感受性が回復するかを検証する。またマウスにおいてGefitinib耐性を示した腫瘍組織における静止期およびG0期維持分子についても更に詳細に解析して、In vivoでもG0期維持分子を制御することで、静止期・肺癌幹細胞の比率を減らし、Gefitinib耐性克服が可能かどうかを検証する。
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Causes of Carryover |
当初の予定よりも耐性腫瘍サンプルの収集が遅れ、発現解析などを次年度に行うことになったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
遺伝子発現解析や免疫染色あるいは追加のマウス実験などに使用予定である。
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Research Products
(5 results)