Outline of Annual Research Achievements |
炎症性閉塞性呼吸器疾患,COPD,喘息(BA),その合併(ACOS)の病態難治化を解析するため,疲労の新規指標であるヒトヘルペスウイルス(HHV)-6,HHV-7の再活性化因子を検討する.これには,唾液中のHHV-6/7(DNA)量およびHHV-6再活性化時に嗅球で発現するSITH-1に対する抗体価がある.HHV-6(DNA)は1週間程度,HHV-7(DNA)は1ヶ月程度の疲労を反映する.また抗SITH-1抗体はメンタル異常と関連し,鬱や双極性障害では陽性率50%を超える(正常1.7%).我々は,前回(n=26名)から症例数を63名に増加させ,疲労指標と各疾患,重症度,症状強度等との関連を検討した. 対象は63名(60.6±11.4歳,男/女=47/16名,COPD/BA/ACOS=15/33/15名,全て安定期).HHV-6再活性化率(%)は,BAで最も高く(COPD/BA/ACOS=33.3/48.5/33.3),しかし喘息とCOPD両方で重症度や症状スコアとは一定の傾向は認められなかった.一方,HHV-7再活性化率(%)も,BAで最も高く(COPD/BA/ACOS=46.7/48.5/33.3),また喘息とCOPD両方で重症度には関係しなかったが,症状スコアでは症状が強い程,HHV-7再活性化率(%)も高い傾向がみられた(ACT最良/良/不良=26.7/41.7/66.7,CAT良/不良=40/50).また,抗SITH-1抗体陽性率(%)は(COPD/BA/ACOS= 20/35.5/23),鬱スコアBDI>9p,19pの率(%)は(6.7/21.2/20,0/9.1/0)であった. 以上から,炎症性閉塞性呼吸器疾患では,BAが最も疲労が高く,HHV-7(DNA)が半減期が長いためか喘息とCOPD両方で症状スコアとの関連性がみられた.BAはメンタル異常の存在が示唆された.これらの成果は、2016年の呼吸器学会および同年の欧州胸部疾患学会にて発表された。
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