2016 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K09241
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
森戸 直記 筑波大学, 医学医療系, 講師 (70463825)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 巣状糸球体硬化症 / 糸球体上皮細胞 / 転写因子 |
Outline of Annual Research Achievements |
大Maf 群転写因子は、ほ乳類においてMafa, Mafb, c-Maf, Nrlの4種類が知られている。そのひとつであるMafbは膵内分泌細胞の発生、内耳の形成、マクロファージの機能分化に重要であることが報告されている。 我々が作製したMafbノックアウト(Mafb -/-)マウスの解析から、Mafbは腎臓でpodocyteのみに特異的に発現し、podocyteの成熟、足突起の形成に必須であることが分かった (Mol. Cell. Biol. 26: 5715-5727, 2006)。しかし、Mafb -/-マウスは中枢性呼吸不全で生後すぐ死んでしまうため、成体での機能解析は困難であった。そのためMafb へテロ (Mafb +/-) マウスを1-2年間観察したところ、Mafb +/-マウスは6か月齢では尿蛋白はみられないが1年齢を超えた頃から、蛋白尿を来すことを見いだした。 最近のエクソーム解析から、MCTO (Multicentric Carpotarsal Osteolysis; 多中心性手根足根骨溶解症)の患者に、MAFBの点変異が存在することが報告された (Am J Hum Genet. 2012; 90:494-501)。MCTO の骨病変は破骨細胞におけるMAFBの機能不全が考えられているが、 興味深いことにMCTOは半数以上の例で腎機能障害をきたし蛋白尿の出現から1年から17年で腎不全に至る。腎生検をしえた例では巣状糸球体硬化症の報告例がある 。また、podocyteに発現する種々の分子の変異、欠損が一部の巣状糸球体硬化症に関与しているという事実からpodocyte障害が巣状糸球体硬化症をもたらすという説が受け入れられている。以上からMafbは成体でのpodocyteの維持に必須である可能性が高い。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
マウス、ヒトにおいての巣状糸球体硬化症における転写因子の役割が明らかになりつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
マウス、ヒトにおいての巣状糸球体硬化症における転写因子の役割を解明し、ヒトにおける巣状糸球体硬化症の治療につなげる。
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Causes of Carryover |
免疫染色の抗体の入手に手間取り次年度にずれ込んでしまったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
マウス、ヒト検体での免疫染色を行う。
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Research Products
(2 results)