2015 Fiscal Year Research-status Report
敗血症性急性腎障害におけるTLR9 - IL-17経路の役割の検討
Project/Area Number |
15K09254
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
辻 孝之 浜松医科大学, 医学部, 助教 (30464126)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安田 日出夫 浜松医科大学, 医学部附属病院, 講師 (60432209)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 急性腎障害 / 敗血症 / TLR9 / IL-17 |
Outline of Annual Research Achievements |
敗血症ではToll-like receptor (TLR) 9のリガンドであるミトコンドリアDNAが血中に増加する。TLR9欠損マウスでは、敗血症モデルによる腎障害が軽減されるが、TLR9経路の下流のメカニズムは明らかでない。本研究の目的は、TLR9経路の下流としてIL-17に着目し、敗血症による急性腎障害におけるTLR9 - IL-17経路の役割を解明することである。2015年度は、IL-17によって制御される炎症性サイトカイン、免疫寛容、腎機能などをIL-17 (IL-17A) 欠損マウスを用いて検討した。 Cecal ligation and puncture (CLP) による敗血症モデルを作成した。野生種マウスでは、CLP 6時間から血中IL-17AやTNFαは上昇したが、IL-17欠損マウスでは上昇はみられなかった。また24時間後の血清クレアチニン値は、野生種マウスでは0.57±0.23 mg/dlに対し、IL-17欠損マウスで0.29±0.16 mg/dLと有意に軽減していた (p<0.05)。同様に腎組織障害スコアも軽減していた。免疫寛容の指標としての脾臓内アポトーシスも、IL-17欠損マウスにおいて野生種マウスより有意に軽減していた。これらの結果は、敗血症による急性腎障害には、IL-17が関与している可能性を示唆している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2015年度は、IL-17によって制御される全身性免疫応答、腎内への影響、生存率への影響を検討することを目標として挙げた。敗血症による全身性の炎症性サイトカインや免疫寛容の軽減と急性腎障害の軽減をIL-17欠損マウスにおいて証明することで、敗血症による急性腎障害には、IL-17が関与している可能性を示すことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
IL-17欠損マウスを用いて生存率に与える影響の検証を進める。同時にTLR9が敗血症においてIL-17の産生を制御しているか検討する。 さらに、野生種のCLPモデルにおいて、血中、腹腔内および脾臓内のどの免疫担当細胞(CD4+T細胞、CD8+T細胞、γδT細胞、NK細胞、マクロファージ、単球、好中球)がIL-17Aを産生しているか同定していく。
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